合格を目指すすべての人へ。アガルートは、応援のかたちも多彩です。 全12種の割引をチェック

三井美唄炭鉱労組事件(最大判昭43.12.4)をどこよりも分かりやすく解説

当ページのリンクにはPRが含まれています。
×
判例図解キット

【法スタ限定】視覚的に判例を整理できる特製キットをプレゼント!!

※閉じるとこの案内は再表示されません

かもっち・あひるっぺからの挨拶

かもっち

はじめまして、かもっち@hosyocomです。
皆さん、法律の勉強、お疲れ様です!!

法スタは、法律を学ぶすべての人に向けた法律の勉強法専門メディアです。

あひるっぺ

私は、司法試験受験生のあひるっぺ

司法試験予備試験法科大学院入試法律書籍人気予備校のレビュー
必要なノウハウや勉強の進め方を、初心者にもわかりやすく解説
しています。

かもっち

姉妹サイトとして「法律書籍の口コミサイト」や「法科大学院の口コミサイト」も運営しています。

あひるっぺ

私たちは、合計370件以上の豊富なコンテンツを揃え、皆さんの法律学習を全力でサポートします。
知りたい情報が必ず見つかるはず!ぜひ一緒に学びましょう!

この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです!

(挨拶おわり)


試験対策に悩んでいませんか?

あひるっぺ

その悩み、プロに話してみませんか?

かもっち

資格試験の不安や悩み、ひとりで抱えていませんか?
資格スクエアなら、ほぼ毎日開催されている無料相談会で、資格のプロに直接相談できます。

悩むより、まず一歩を踏み出すことが合格への近道です。

  • 限られた時間でも合格できる「戦略合格カリキュラム
  • 専門講師による的確なインプット
  • オンラインで完結する効率的アウトプット演習

そして、【AIによる答案添削】の新時代も到来
いまなら、AI添削β版の無料体験も可能。
あなたの勉強法に、プロの戦略をプラスしませんか?

\無料でプロに相談してみよう/

上位ロー合格で【全額返金】嘘みたいな話

三井美唄炭鉱労組事件は、選挙において労働組合が統一候補を立てた場合に、個々の組合員が立候補することをやめるように要求することができるのか? つまり、労働組合の統制権と個々の組合員の被選挙権の関係が問題となった事件です。

最高裁は、労働組合の統制権は、必要かつ、合理的な範囲内で認められるものであり、限界があることを示しました。

▼憲法重要判例30選▼

No判決日事件名
1最大判昭53.10.4マクリーン事件
2最大判昭45.6.24八幡製鉄政治献金事件
3最大判昭48.12.12三菱樹脂事件
4最一小判平成1.3.2塩見訴訟
5最大判昭和49.11.6猿払事件
6最大判昭和58.6.22よど号ハイジャック記事抹消事件
7最大判昭和44.12.24京都府学連事件
8最三小決平成29.1.31グーグル検索結果削除請求事件
9最大判平成27.12.16女子再婚禁止期間事件
10最二小判平成23.5.30君が代起立斉唱事件
11最二小判平成8.3.8エホバの証人剣道受講拒否事件
12最大判昭和52.7.13津地鎮祭事件
13最大判昭和59.12.12札幌税関検査事件
14最大判昭和61.6.11北方ジャーナル事件
15最大決昭和44.11.26博多駅事件
16最大判平成1.3.8レペタ事件
17最三小判平成7.3.7泉佐野市民会館事件
18最大判昭和38.5.22東大ポポロ事件
19最大判昭和50.4.30薬事法距離制限事件
20最大判昭和62.4.22森林法事件
21最大判平成4.7.1成田新法事件
22最大判平成14.9.11郵便法違憲判決
23最三小判昭和56.6.15戸別訪問禁止事件
24最大判昭和51.4.14議員定数不均衡訴訟
25最大判昭和57.7.7堀木訴訟
26最大判昭51.5.21旭川学力テスト事件
27最大判昭43.12.4三井美唄炭鉱労組事件
28最三小判昭和56.4.7板まんだら事件
29最三小判昭和52.3.15富山大学単位不認定事件
30最大判昭和34.12.16砂川事件
目次

あひるっぺ

みなさ~ん!
この記事の本題に入る前に、ちょっと耳寄りな情報をご案内します。

かもっち

「これさえやりきれば、もう怖くない!
そんな演習書や問題集が欲しいと思ったことはありませんか?
通称「重問」と呼ばれるアガルートの重要問題がおすすめ

あひるっぺ

その人気の秘密や効果的な活用方法について、アガルートの専任講師に直接インタビューを行いました。
受験生に支持される理由が詰まった記事、ぜひチェックしてみてくださいね!

今売れてます!!

\司法試験合格者占有率37.8%/

▼重要問題だけで合格する究極の勉強法【独占インタビュー】▼


被選挙権の根拠規定は何か?

選挙権については、憲法15条1項に「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」と規定されており、憲法上の権利であることが明記されています。

一方、被選挙権、つまり、議員になる権利や立候補する権利については、憲法上明記されていません。

そのため、被選挙権の根拠は何か? が問題となります。

この点については次のような学説が提唱されています。

  • 憲法13条の幸福追求権を根拠とする説
  • 憲法15条1項の規定は選挙権と被選挙権が表裏一体で定められていると解する説
  • 憲法44条の「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。」との規定が、選挙権と被選挙権を区別していないことに根拠を求める説

三井美唄炭鉱労組事件は、被選挙権の根拠規定について最高裁が見解を示した判例でもあります。

労働組合の統制権

憲法28条には、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」と規定されており、労働者の労働基本権として次の3つを認めています。

  • 団結権
  • 団体交渉権
  • 団体行動権(争議権)

この中で、団結権とは労働組合を結成する権利を意味します。

そして、労働組合には、労働組合に属する労働者に対する統制権が認められます。

労働組合の団結権を確保するために必要不可欠であることから、労働組合固有の権利として認められると解されているわけです。

労働組合の統制権と組合員個人の権利はどちらが優先されるのか?

労働組合の統制権が認められるにしても、組合員個人の権利との兼ね合いが問題となります。

例えば、労働組合が選挙において統一候補として立候補者を立てた場合は、組合員に対して、その候補者を応援するように求めることができます。

では、組合員が別に自ら立候補しようとした場合、労働組合は、組合員に対して立候補を取りやめるように強制することができるのでしょうか?

労働組合には統制権が認められていますが、組合員にも被選挙権が認められているため、両者の権利をどのように調整すべきかが問題となります。

三井美唄炭鉱労組事件は、その点について、最高裁が見解を示した事件です。

三井美唄炭鉱労組事件の概要

Aさんは北海道三井美唄炭鉱労働組合の組合員です。

昭和30年ごろから美唄市議会議員選挙において、同組合の統一候補として、立候補し、当選していました。

昭和34年に施行された美唄市議会議員選挙では、任期中に定年になることから、Aさんは統一候補として選出されず、他の統一候補が立てられました。

それでもAさんは独自の立場で立候補しようとしました。

同組合の幹部らは、票割れを防ぐために立候補を取りやめるようにAさんを説得したり圧力をかけましたが、Aさんは立候補を強行し、当選しました。

そこで、同組合の幹部らがAさんを統制違反者として組合員の権利を停止するといった処分を下しました。

こうした同組合の幹部らの一連の行為が、公職選挙法225条に規定されている選挙の自由妨害罪に該当するとして、同組合の幹部らが起訴されました。

第一審では一部有罪の判決が下され、第二審では違法性を欠くとして無罪の判決が下されました。

そこで、検察官が上告しました。

最高裁の考え方

最高裁では大法廷で審理が行われ、全員一致で破棄差戻しの判決を下しました。

最高裁の考え方を確認しましょう。

被選挙権の根拠規定は何か?

最高裁は、憲法15条1項が被選挙権または立候補の自由については明記していないとしつつも、立候補が不当に制約されると選挙人が希望する代表者を選ぶ権利も阻害される関係にあることから、「立候補の自由は、選挙権の自由な行使と表裏の関係にあり、自由かつ公正な選挙を維持するうえで、きわめて重要」と述べています。

この見地からすると、「憲法15条1項には、被選挙権者、特にその立候補の自由について、直接には規定していないが、これもまた、同条同項の保障する重要な基本的人権の一つと解すべき」と述べています。

つまり、憲法15条1項の規定は選挙権と被選挙権が表裏一体で定められていると解する立場を採り、被選挙権も憲法上の権利であることを明確にしました。

労働組合の統制権について

最高裁は、憲法28条は労働者の団結権、団体交渉権および団体行動権(いわゆる労働基本権)を保障した規定であり、労働組合法は、これを具体化した規定であると解しています。

一方で、労働組合が正当な団体行動を行なうには、労働組合の統一と一体化を図り、その団結力の強化を図る必要があり、組合員たる個々の労働者の行動について、合理的な範囲において、これに規制を加えることが許されると明言し、労働組合の統制権を認めました。

すなわち、「憲法28条による労働者の団結権保障の効果として、労働組合は、その目的を達成するために必要であり、かつ、合理的な範囲内において、その組合員に対する統制権を有する」という見解を示したわけです。

労働組合の組合員に対する統制権と立候補の自由との関係

最高裁は、労働組合にもその目的を達成するために必要な政治活動等を行なうことが認められると解しています。

統一候補を決定して労働組合を挙げて選挙運動を推進することも認められます。

さらに、統一候補以外の組合員が立候補しようとしている場合に、その組合員に立候補を思いとどまるように勧告または説得することも、組合の政治活動の一環として許されるとしています。

労働組合には組合員に対する統制権が認められているからです。

ただ、労働組合の統制権には一定の限界があります。

特に個々の組合員の立候補の自由は、憲法上保障されている基本的人権の一つであることから、これに対する制約は、特に慎重でなければならないとしています。

そして、労働組合の統制権の限界を判断するにあたっては、

  • 労働組合の統制権の必要性
  • 立候補の自由

この2つを比較衡量して、その許否を決めるべきとしています。

三井美唄炭鉱労組事件へのあてはめ

では、三井美唄炭鉱労組事件での同組合の幹部らによるAさんへの働きかけはどのように考えるべきでしょうか。

まず、Aさんに立候補を思いとどまるよう、勧告または説得をすることは労働組合として当然になしうると判断しています。

一方で、Aさんに立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由にAさんを統制違反者として処分することは、労働組合の統制権の限界を超える行為で違法と判断しました。

まとめ

三井美唄炭鉱労組事件は、次の点を示した判例です。

  • 被選挙権は、憲法15条1項により、選挙権と被選挙権が表裏一体で保障されている。
  • 労働組合には必要かつ合理的な範囲で組合員に対する統制権が認められている。
  • ただ、労働組合の統制権には限界があり、労働組合の統制権の必要性と個々の組合員の権利を比較衡量して、その許否を決めるべきである。
  • そして、統一候補以外の立候補者である組合員に対して立候補を思いとどまるよう、勧告または説得をすることは認められるが、立候補を取りやめることを要求したり、統制違反者として処分することは違法である。

こうした見解が示された最高裁判決で、後に労働組合の統制権が問題となった判例でも継承されています。

参考文献

憲法判例百選2 有斐閣

判決文は最高裁サイトより引用しています。

\アガルートの三種の神器/

スクロールできます
総合講義重要問題習得講座論証集の使い方講座
インプット講座の最高傑作
司法試験の論文式試験に必要な知識が凝縮された質の高いテキストを使った業界最高峰の講義です。
「もう論文式試験は怖くない」これだけやりきれば、そう思える講座というコンセプトで作られた演習講座アガルートの講座の中で、最もコスパのよい講座です。隙間時間の聞き流しが最適。論点のハンドブックとしても使える。
講座レビュー講座レビュー講座レビュー
詳細はこちら詳細はこちら詳細はこちら
セール情報セール情報セール情報
アガルートの三種の神器

司法試験は情報戦だ!!

司法試験の論文式試験対策についてもっと詳しく知りたい方は、「論文で半分ちょい」が合格のカギ!司法試験の合格ストラテジー【初学者向け】もぜひチェックしてみてください。

この記事では、司法試験の論文式試験で「目指すべき得点」や、効果的な勉強法について詳しく解説しています。特に、初学者でも理解しやすいように工夫されていますので、これから司法試験を目指す方には必見です。

この記事の内容はこんな方におすすめ!

  • 司法試験の論文式試験と短答式試験の配点のバランスを知りたい
  • 論文式試験で効率よく得点するための勉強法を探している
  • 初学者におすすめの参考書や予備校の選び方を知りたい
  • 「予備試験ルート」と「ロースクールルート」の違いが分からない
  • 過去問や再現答案の効果的な活用方法を知りたい

この記事で分かること

  • 司法試験の論文式試験で狙うべき得点の目安
  • 短答式試験の対策は「合格点を確実に取る」ことがポイント
  • おすすめの判例集や演習書、予備校講座の紹介
  • 予備試験ルートとロースクールルートのメリットとデメリット
  • 効率よく学習を進めるための勉強法とスケジュール

詳しくは以下の記事をご覧ください!司法試験合格への道がぐっと近づくはずです。

▼司法試験受験生なら必読▼

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

判例学習を“見える化”しよう!

事案図解で理解と記憶に革命を。

複雑な判例も、図で整理すれば驚くほどスッキリ頭に入る。
判例事案図解キット」は、登場人物・組織を示す「人・組織アイコン」と、事案の流れを補足する「その他アイコン」がセットになった、スライド形式の図解ツールです。

これらのアイコンを組み合わせて配置するだけで、判例の構造を視覚的に整理・再現することが可能。
もちろん、手書きの整理も有効ですが、スライドとして一度しっかり図解しておけば、後から見返したときの理解度と復習効率が段違いです。

とくに「これは絶対に押さえておきたい!」という重要判例については、このキットを活用して、自分だけのオリジナル事案図を作ってみてください。

「視覚で学ぶ」という新しい判例学習のかたち、ぜひ体験してみてください。

▼法スタ公式LINE登録で限定配布中▼


この記事を書いた人

法スタ運営事務局です。司法試験合格者監修の下、法律を勉強されているすべての方向けにコンテンツの制作をしております。

法律書籍専門の口コミサイト「法書ログ」、法科大学院の口コミサイト「#ロースクールはいいぞ」を運営しております。

目次