札幌税関検査事件(最大判昭和59年12月12日)をどこよりも分かりやすく解説

当ページのリンクにはPRが含まれています。
×
判例図解キット

【法スタ限定】視覚的に判例を整理できる特製キットをプレゼント!!

※閉じるとこの案内は再表示されません

かもっち・あひるっぺからの挨拶

かもっち

はじめまして、かもっち@hosyocomです。
皆さん、法律の勉強、お疲れ様です!!

法スタは、司法試験合格者が監修する法律の勉強法専門メディアです。

あひるっぺ

私は、司法試験受験生のあひるっぺ

司法試験予備試験法科大学院入試法律書籍人気予備校のレビュー
必要なノウハウや勉強の進め方を、初心者にもわかりやすく解説
しています。

かもっち

姉妹サイトとして「法律書籍の口コミサイト」や「法科大学院の口コミサイト」も運営しています。

あひるっぺ

私たちは、合計370件以上の豊富なコンテンツを揃え、皆さんの法律学習を全力でサポートします。
知りたい情報が必ず見つかるはず!ぜひ一緒に学びましょう!

この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです!

(挨拶おわり)


キャンペーン画像

その勉強法、結果に繋がってますか?不合格を経験した複数回受験生がたどり着いた「落ちない」司法試験勉強法とは?

>>>詳細をチェックする

>>>上位ロー合格で全額返金

「札幌税関検査事件」は「検閲の定義」・「表現の自由を制限する際の明確性の理論」が問題になった重要な判例です。

憲法21条2項では「検閲を絶対的に禁止」していますが、「検閲とは何か?」がこれまで不明確でした。「札幌税関検査事件」ではその「検閲」の定義づけがなされました。

憲法 第二十一条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
②検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

≪この事件のポイント≫
・「検閲」の定義が分かります
・「検閲」の絶対的禁止の解釈について分かります
・「表現の自由」を制限する際の「明確性の理論」と「限定解釈」の容認について分かります

かもっち

まず、事件の概要から見ていきましょう!

▼憲法重要判例30選▼

No判決日事件名
1最大判昭53.10.4マクリーン事件
2最大判昭45.6.24八幡製鉄政治献金事件
3最大判昭48.12.12三菱樹脂事件
4最一小判平成1.3.2塩見訴訟
5最大判昭和49.11.6猿払事件
6最大判昭和58.6.22よど号ハイジャック記事抹消事件
7最大判昭和44.12.24京都府学連事件
8最三小決平成29.1.31グーグル検索結果削除請求事件
9最大判平成27.12.16女子再婚禁止期間事件
10最二小判平成23.5.30君が代起立斉唱事件
11最二小判平成8.3.8エホバの証人剣道受講拒否事件
12最大判昭和52.7.13津地鎮祭事件
13最大判昭和59.12.12札幌税関検査事件
14最大判昭和61.6.11北方ジャーナル事件
15最大決昭和44.11.26博多駅事件
16最大判平成1.3.8レペタ事件
17最三小判平成7.3.7泉佐野市民会館事件
18最大判昭和38.5.22東大ポポロ事件
19最大判昭和50.4.30薬事法距離制限事件
20最大判昭和62.4.22森林法事件
21最大判平成4.7.1成田新法事件
22最大判平成14.9.11郵便法違憲判決
23最三小判昭和56.6.15戸別訪問禁止事件
24最大判昭和51.4.14議員定数不均衡訴訟
25最大判昭和57.7.7堀木訴訟
26最大判昭51.5.21旭川学力テスト事件
27最大判昭43.12.4三井美唄炭鉱労組事件
28最三小判昭和56.4.7板まんだら事件
29最三小判昭和52.3.15富山大学単位不認定事件
30最大判昭和34.12.16砂川事件
目次

「札幌税関検査事件」の概要

「札幌税関検査事件」の概要
Xは、外国の商社に8ミリフィルムと書籍等を発注し、郵便で輸入しました。

函館税関は「税関検査」でこれをチェックしたところ、関税法の第六十九条の規定に抵触する「公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品」だと判断し、Xに通知しました。

これに対してXは「税関」に対して異議の申し立てをしましたが、棄却されました。

そこでXが、通知と異議申立棄却の取消しを求めて、訴えを提起しました。

抵触するとされた「関税法」(輸入してはならない貨物)
第六十九条の十一 次に掲げる貨物は、輸入してはならない。
七 公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品(次号に掲げる貨物に該当するものを除く。)

第一審では「税関による通知と決定通知は、検閲に当たる」と判断しました。「検閲」は「明白かつ差し迫った危険がある場合のみ、例外的に許容されるものの本件はその要件を満たしていない」と述べていました。

これに対して、税関側が控訴しました。

控訴審では「『税関検査』は、形式論理的には検閲の範疇に属するものの、正確には『検閲』に当たらない」として、Xの請求を棄却しました。

そこで、Xが上告しました。

「札幌税関検査事件」最高裁の考え方

最高裁は、Xの上告を棄却しています。

まず、「税関検査が『検閲』に当たるのか?」を判断するのに先立って、「『検閲』は絶対的に禁止されているのか?」という点について判断しました。

以下、最高裁の考え方を見ていきましょう。

「検閲」は絶対的に禁止されるのか?

憲法21条2項では「『検閲』はこれをしてはならない」と定めています。

「検閲」の禁止に、例外は認められるのでしょうか?

例えば、「公共の福祉」を理由に「検閲」が認められることはあるのでしょうか?

この点について、最高裁は「『公共の福祉』を理由とする例外の許容をも、認めない趣旨を明らかにしたものと解すべきである」として、「検閲」は絶対的に禁止されると解しています。

憲法が「表現の自由」を広く保障しているところ、「検閲」は「表現の自由」に対する最も厳しい制約となるためです。

「検閲」とは何か?

そもそも「検閲」とは何でしょう?この点について「札幌税関検査事件」で、最高裁は明確な定義を示しました。

≪「検閲」の定義≫

  • 主体は「行政権」である
  • 対象は「思想内容等の表現物」である
  • 時期は「発表前に行われるもの」である

そして、以下と定義しました。

その「表現物の全部、又は一部の発表の禁止」を目的として、網羅的一般的にその内容を審査した上で、不適当と認めるものの発表を禁止することを「検閲」という

この要件を満たす「検閲」は、憲法21条2項で、絶対的に禁止していると判断しました。

「税関検査」は「検閲」に当たるのか?

では「札幌税関検査事件」の「税関検査」は「検閲」に当たるのでしょうか?

かもっち

先ほどの定義と見合わせて確認していきましょう!

最高裁は、税関検査について「定義①主体が行政権である」ことは認めました。

ただ、税関は「関税の確定及び徴収を本来の職務内容」とし、「定義②対象は思想内容等の表現物である」のように、「思想内容等を対象として、これを規制することを独自の使命としているわけではない」としています。

税関は「検閲」のための機関ではないことを強調したのです。

また、「②対象」と「③時期」についても次のように述べています。

≪本件税関検査に関する「②対象」と「③時期」について≫

  • 「税関検査」は、関税徴収手続の一環として、これに付随して行われるもので、「思想内容を網羅的に審査し規制することを目的とするもの」ではない
  • 表現物は「国外においては既に発表済みのもの」だから、「発表前に禁止している」とは言えない

よって、「税関検査」は憲法21条2項の「検閲」に当たらないと判断しました。

「明確性の理論」について

「表現の自由」は憲法21条1項により強く保障されていますが、一定の制約を受けることもあります。

法律の規定で「表現の自由」を規制することも可能です。

ただ、法律の規定が曖昧不明確だと、本来、合憲的に行えるはずの表現行為も委縮させてしまう恐れがあります。そのため、法文が曖昧不明確な場合は、原則として無効になると解されています。

これを「明確性の理論」と言います。

最高裁も、次のように述べています。

  • 「表現の自由」は、「憲法の保障する基本的人権の中でも、特に重要視されるべきもの」である
  • 法律をもつて「表現の自由」を規制する場合は、基準の広汎、不明確の故に当該規制が、本来憲法上許容されるべき表現にまで及ぼされて、「『表現の自由』が不当に制限されるという結果」を招くことがないように、配慮する必要があり、事前規制的なものについては特に然りというべきである。

このように述べて、最高裁も「明確性の理論」を肯定しています。

関税法の「風俗を害すべき書籍、図画」の規定は明確なのか?

「札幌税関検査事件」では、「明確性の理論」に関して、関税法の「風俗を害すべき書籍、図画」の意味が曖昧ではないか?という点が争点となりました。

この点について、税関側は「風俗を害すべき書籍、図画」とは、猥褻な書籍、図画等のみを指すものと限定解釈ができると主張していました。

では、「表現の自由」を規制する法律の規定について、こうした「限定解釈」は認められるのでしょうか?

この点、最高裁は「限定解釈」が認められるのは、次の要件を満たす場合だとしています。

≪「限定解釈」が認められるための要件≫

  • その解釈により「規制の対象となるものと、そうでないもの」とが明確に区別され、かつ、「合憲的に規制し得るもののみ」が規制の対象となることが明らかである
  • 一般国民の理解において、具体的場合に「当該表現物が規制の対象となるかどうか」の判断を可能ならしめるような基準を、その規定から読みとることができる

その上で「関税法の規定」について次のように認定しています。

  • 「風俗を害すべき書籍、図画」等を猥褻な書籍、図画等のみを指すものと限定的に解釈することによつて、合憲的に規制し得るもののみがその対象となることが明らかにされたと言える
  • 「風俗を害すべき書籍、図画」とある文言が専ら猥褻な書籍、図画を意味することは、現在の社会事情の下において、わが国内における社会通念に合致するものである

よって、「関税法の規定」は「限定解釈」が可能であるし、「明確性の要請」に欠けるところはないと述べました。

猥褻な書籍、図画等の輸入規制は「表現の自由」に違反しないのか?

では、「猥褻な書籍、図画等の輸入を規制すること」は憲法21条1項「表現の自由」に反しないのでしょうか?

猥褻なものでも「表現物」ですから規制には慎重さが求められます。

この点について最高裁は、「表現の自由」は「憲法の保障する基本的人権の中でも特に重要視されるべきものである」としつつ、「絶対無制限なものではなく、公共の福祉による制限を受けることがある」としています。

そして、性的秩序を守り、最小限度の性道徳を維持することは「公共の福祉」の内容に含まれるとして、法律で規制することは「表現の自由」に関する憲法21条1項の規定に違反しないとしています。ただ「表現の自由」の中でも、猥褻表現物の保護の程度は他の表現に比べて低いと考えられています。

税関検査による「猥褻表現物の輸入規制」も同様に考えて、憲法21条1項の規定に違反しないと述べています。

憲法の面白さを、深く味わう

まとめ

「札幌税関検査事件」は様々な論点が詰まった重要な判例ですが、まず押さえるべきことは、「検閲」の定義が明確にされたことです。

≪「検閲」の定義≫

  • 主体は「行政権」である
  • 対象は「思想内容等の表現物」である
  • 時期は「発表前に行われるもの」である

これらの要件を満たしており、その表現物の全部又は一部の発表の禁止を目的として、網羅的一般的にその内容を審査した上で、不適当と認めるものの発表を禁止することを検閲と言います。

そして、「検閲」は絶対的に禁止されていることを最高裁も明言しました。

その上で、「表現の自由」を規制する法律の規定について「限定解釈」が認められる場合の要件も押さえておきましょう。

憲法重要判例30選

▼憲法重要判例30選▼

No判決日事件名
1最大判昭53.10.4マクリーン事件
2最大判昭45.6.24八幡製鉄政治献金事件
3最大判昭48.12.12三菱樹脂事件
4最一小判平成1.3.2塩見訴訟
5最大判昭和49.11.6猿払事件
6最大判昭和58.6.22よど号ハイジャック記事抹消事件
7最大判昭和44.12.24京都府学連事件
8最三小決平成29.1.31グーグル検索結果削除請求事件
9最大判平成27.12.16女子再婚禁止期間事件
10最二小判平成23.5.30君が代起立斉唱事件
11最二小判平成8.3.8エホバの証人剣道受講拒否事件
12最大判昭和52.7.13津地鎮祭事件
13最大判昭和59.12.12札幌税関検査事件
14最大判昭和61.6.11北方ジャーナル事件
15最大決昭和44.11.26博多駅事件
16最大判平成1.3.8レペタ事件
17最三小判平成7.3.7泉佐野市民会館事件
18最大判昭和38.5.22東大ポポロ事件
19最大判昭和50.4.30薬事法距離制限事件
20最大判昭和62.4.22森林法事件
21最大判平成4.7.1成田新法事件
22最大判平成14.9.11郵便法違憲判決
23最三小判昭和56.6.15戸別訪問禁止事件
24最大判昭和51.4.14議員定数不均衡訴訟
25最大判昭和57.7.7堀木訴訟
26最大判昭51.5.21旭川学力テスト事件
27最大判昭43.12.4三井美唄炭鉱労組事件
28最三小判昭和56.4.7板まんだら事件
29最三小判昭和52.3.15富山大学単位不認定事件
30最大判昭和34.12.16砂川事件

この記事を読んだ方にお勧めの記事はこちら

\アガルートの三種の神器/

スクロールできます
総合講義重要問題習得講座論証集の使い方講座
インプット講座の最高傑作
司法試験の論文式試験に必要な知識が凝縮された質の高いテキストを使った業界最高峰の講義です。
「もう論文式試験は怖くない」これだけやりきれば、そう思える講座というコンセプトで作られた演習講座アガルートの講座の中で、最もコスパのよい講座です。隙間時間の聞き流しが最適。論点のハンドブックとしても使える。
講座レビュー講座レビュー講座レビュー
詳細はこちら詳細はこちら詳細はこちら
セール情報セール情報セール情報
アガルートの三種の神器

司法試験は情報戦だ!!

司法試験の論文式試験対策についてもっと詳しく知りたい方は、「論文で半分ちょい」が合格のカギ!司法試験の合格ストラテジー【初学者向け】もぜひチェックしてみてください。

この記事では、司法試験の論文式試験で「目指すべき得点」や、効果的な勉強法について詳しく解説しています。特に、初学者でも理解しやすいように工夫されていますので、これから司法試験を目指す方には必見です。

この記事の内容はこんな方におすすめ!

  • 司法試験の論文式試験と短答式試験の配点のバランスを知りたい
  • 論文式試験で効率よく得点するための勉強法を探している
  • 初学者におすすめの参考書や予備校の選び方を知りたい
  • 「予備試験ルート」と「ロースクールルート」の違いが分からない
  • 過去問や再現答案の効果的な活用方法を知りたい

この記事で分かること

  • 司法試験の論文式試験で狙うべき得点の目安
  • 短答式試験の対策は「合格点を確実に取る」ことがポイント
  • おすすめの判例集や演習書、予備校講座の紹介
  • 予備試験ルートとロースクールルートのメリットとデメリット
  • 効率よく学習を進めるための勉強法とスケジュール

論文でなぜ「半分ちょい」の得点を目指すのか?

詳しくは以下の記事をご覧ください!司法試験合格への道がぐっと近づくはずです。

▼司法試験受験生なら必読▼

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

判例学習を“見える化”しよう!

事案図解で理解と記憶に革命を。

複雑な判例も、図で整理すれば驚くほどスッキリ頭に入る。
判例事案図解キット」は、登場人物・組織を示す「人・組織アイコン」と、事案の流れを補足する「その他アイコン」がセットになった、スライド形式の図解ツールです。

これらのアイコンを組み合わせて配置するだけで、判例の構造を視覚的に整理・再現することが可能。
もちろん、手書きの整理も有効ですが、スライドとして一度しっかり図解しておけば、後から見返したときの理解度と復習効率が段違いです。

とくに「これは絶対に押さえておきたい!」という重要判例については、このキットを活用して、自分だけのオリジナル事案図を作ってみてください。

「視覚で学ぶ」という新しい判例学習のかたち、ぜひ体験してみてください。

▼法スタ公式LINE登録で限定配布中▼


この記事を書いた人

法スタ編集部です。司法試験合格者監修の下、法律を勉強されているすべての方向けにコンテンツの制作をしております。

法律書籍専門の口コミサイト「法書ログ」、法科大学院の口コミサイト「#ロースクールはいいぞ」を運営しております。

書籍選びに満足していますか?

勉強を効率化する第一歩は、正しい本選び。
法スタで学んだ知識をさらに深めたい方は、法律書籍専門の口コミサイト・法書ログ へ!

実際に学習者や実務家が投稿した 400件以上の口コミが読み放題 だから、本当に役立つ一冊を見極められます。
迷いや不安を解消し、あなたの勉強を支える書籍が、きっと見つかります。

目次