伝聞の苦手克服は実は簡単
伝聞法則に特化した参考書。
著者は弁護士であり,実はこれが本書の最大の特徴。
受験生が伝聞法則につまづく最大の理由は,私見では,立証構造が把握できていないために,供述の内容の真実性が問題となっているか否かの判別ができないことにある。
本書は弁護士,つまり法廷で検察官の立証構造を吟味する立場にある者による本であり,大げさにいえば,立証構造を把握できるようになるメソッドを知り尽くしている者といえる。
本書はまず,「基本書を見てみても,実際の裁判で具体的にどういう供述が伝聞になり,あるいは非伝聞になるのかといった具体的なことは今ひとつわからない」「学生にこの壁を越えてもらうには,とくかく擬似的にでも法廷における実務体験をしてもらうしかない」(はしがきⅱ頁)と問題提起する。そして,その解決のために,「いわゆる論点を含まない事例も多く検討し」「実務感覚を擬似的に体験できるよう,事例問題を中心に極力具体的な記述を心がけ」ている(同ⅲ頁)。
確かに,手続法の学習のポイントは論点を含まない,平常時の手続の把握にあり,論点という,いわば法廷における限界事例のみを学習すると,かえって全体像の理解が遅れることになる。
本書は,立証構造を把握するためにシンプルな事例問題を繰り返す本であり(「伝聞ノック」(同ⅱ頁)),これにより,司法試験において出題された事例が,どのパターンの立証構造の理解を問うているのかの判別が容易になる。本書の第4章までをこなせば,司法試験で聞かれている伝聞法則が,弁護士等の実務家にとってはあたりまえの,単純で基本的なことであることが理解できるようになる。本書の5章は司法試験問題(H20ないし23,25,27ないし30,R3)の解説である。
なお本書の事例の解説の中には,極めてシンプルなものもあるが,事例問題を最初から検討していけば,どういう理由でその結論が導かれたのかの理解に困ることはない。
本書は「理論的な解説は最低限にとどめ」ている(同ⅲ頁)ことから,伝聞証拠の定義については後藤昭著「伝聞法則に強くなる」等の書籍を参照することも考えられるが,本書と用いている単語の意味に違いがありうるので,注意されたい。本書のみで伝聞証拠の定義を学ぶことには慎重であるべきである。
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