精選された判例をわかりやすく。
憲法判例は、案外多いものです。百選ならば208個+α、判例プラクティスならば351個+α。ぜーんぶ覚えられれば良いんですが、筆者には無理です。
しかも、百選の解説には(司法試験的な意味で)「当たり外れ」があります。特に、百選Ⅰ(第7版)の42番、津地鎮祭事件についての解説は、中々に難解です。ドイツの議論の研究が学術上重要なことは疑いの余地なし。でも、百選でやらないでくれ…と、出来の悪い筆者は思います。じゃあ判プラでいいじゃねえか、とも思うのですが、こっちは解説があまりに短い。
また、「判例の射程」を学ぶには、当該判決の事案がいかなるものか知ることが重要であるところ、百選にせよ判プラにせよ事案が短いです。「判例の射程」も何もあったもんじゃありません。
以上のように、判プラや百選の問題点は、以下の三点です。
①判例多すぎ
②解説使えなすぎ(外れてたり、短かったり)
③事案短すぎ
この点、本書『憲法判例50!』は良書です。
①扱われている判例は、わずか50。+αを含めても、百選や判プラより少ないことは言うまでもありません。こんなに少なくっていいのかとも思いますが、「丁寧に読む判例の数」としては十分なようです。(下級審まで遡って判決を読むことを勧める文脈で、『50!』の半分くらいでいいとする赤坂幸一教授の発言につき、曽我部他編『憲法論点教室(第2版)』(2020年)日本評論社、242頁。)
②解説も、大変分かりやすいものです。争点を「読み解きポイント」として明示し、判決の重要部分を青字にし、しかも「この判決が示したこと」として判決をまとめてくれる親切っぷり。解説本文も、内在的理解に努めるものとなっています。
③事案にも、かなりの文字数が当てられています。特に本書39番事件の「郵便法違憲判決」については、恥ずかしながら、本書で初めて事案の詳細がわかりました。
通読用の憲法判例集としては、かなりの良書であろうと思います。
司法試験受験生
Pick Up 口コミ
刑事訴訟法の定番の演習書だと思いますが、理想の到達点という感じ(この意味で内容は優れていると思います)で、このレベルにまでもっていくのは至難の技のように思います。持っていて損はないけど、やり […]
Pick Up 口コミ
日本評論社の基本シリーズ。もともとは、基本刑法の評判が良くて広まったシリーズだと思いますが、今や全科目、ハイクオリティです。とはいえ、まだ全科目網羅はされていません。 さて、本書ですが、刑 […]
Pick Up 口コミ
ロースクールの指定判例集。 73の掲載判例があり、百選ほど網羅性はないが、判旨+少数意見を全て載せることで読解力と全体像を掴む能力を養うことができます。特に特徴的なのは、判旨の右側に各パラグ […]
Pick Up 口コミ
横道道聡氏の「憲法判例の射程」と合わせて利用していますが、憲法判例を体系だてて整理するのにはとても良いと思います。ただ、掲載判例や、判例の文言自体を確認したい場合には、判例百選同様、少し情 […]
Pick Up 口コミ
「読書は、他人にものを考えてもらうことである」と、ショーペンハウエルは語りました。「人の書いた本を読むだけでは、あんたは何も考えてないんだよ。自分で考える訓練をしなさい」との趣旨であると理 […]
Pick Up 口コミ
憲法答案の書き方がわからない、という人にぴったりの本。この本だけで、学説の内容や、判例の理解が得られるというものではないが、憲法答案を書いたことがない人が、初めて読む本としては、いいと思う […]
Pick Up 口コミ
その論点につき考え方がわからない初学者におすすめの一冊。少ないページ数で、刑法のほぼ全論点を網羅しているため、深い理解にはならないが、あっさり見る分にはすばらしい。 あと、事例問題を普通に解 […]
Pick Up 口コミ
改正法一問一答シリーズは、実務家であれば必携の一冊だと思います。改正法に関する調べ物であれば、まず第一に参照する書籍です。但し、司法試験対策としては過剰と思われます。 実務家
Pick Up 口コミ
入門書として初学者におすすめされることの多い有斐閣ストゥディアシリーズの一冊です。 民訴の基本書としては、リーガルクエストや和田民訴が定番ですが、いずれも600~700ページ超と、いきなりこれら […]
Pick Up 口コミ
憲法の基本書。 司法試験受験者が芦部以外に基本書を読む場合には,リークエ(2冊組)や基本憲法(人権分野のみ)が考えられるが,本書は一冊で人権から統治までカバーできる。憲法の各人権の歴史的 […]