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(挨拶おわり)
刑法の見解対立問題の解説は以下の記事をご覧ください。





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事後強盗罪(刑法第238条、以下、「法」という。)の「窃盗」は、窃盗犯人たる身分を指すものと解する(身分犯説)。
そして、窃盗犯人という身分があることによって初めて事後強盗罪の法益侵害性を肯定することが可能になるから、事後強盗罪における窃盗犯人という身分は真正身分であると考える[1]。
また、法65条1項と2項の関係については、1項は真正身分犯の共犯の成立と科刑、2項は不真正身分犯の共犯の成立と科刑を規定したものと解する。
なぜなら、上記解釈は条文の文言に忠実であり、かつ、基準として明確だからである[2]。
さらに、非身分者であっても身分者と共同すれば法益侵害が可能であること、法65条の文言は共同正犯を排除していないことから、法65条1項の「共犯」には共同正犯が含まれると解する[3]。
そうすると、乙には法65条1項の適用により、事後強盗の罪の共同正犯が成立する。
事後強盗罪は、窃盗罪と暴行・脅迫罪が結合した結合犯であり、事後強盗罪の実行行為は窃取行為と暴行・脅迫行為であると解する(結合犯説)。
そうすると、乙は実行行為の一部を途中から共同したことになるため[4]、承継的共同正犯の成否が問題となるところ、自らが関与する前の行為については因果性を及ぼすことはできない[5]以上、承継的共同正犯は成立しえないと解するべきである。
したがって、乙に脅迫罪の限度で共同正犯が成立する(客観的構成要件要素、主観的構成要件要素、甲乙間の共謀についての詳細な検討は後述する。)。
身分犯説は、「窃盗」を身分と解し、暴行・脅迫行為のみを事後強盗罪の実行行為と捉える。
しかし、かかる見解は事後強盗罪が財産犯であり、「強盗として論ずる」(法238条)とされていることの趣旨を没却するものであって妥当ではない。
したがって、事後強盗罪の財産犯的性質の中核を成している窃取行為も実行行為の一部として把握する結合犯説が妥当であると考える[6]。
そして、共同正犯の処罰根拠は因果性に求められるところ、自らが関与する前の行為については因果性を及ぼすことはできない以上、承継的共同正犯は否定されると考える。
そのため、乙に事後強盗罪の共同正犯が成立することはない。
もっとも、甲が乙に対し、「こいつをなんとかしてくれ。」と言った後に、乙はCに向かってナイフを示しながら、「離せ。ぶっ殺すぞ。」と述べている以上、甲と乙との間で脅迫罪(法222条)の共謀が成立している。
そして、前述した乙のCに対する言動は、一般に人を畏怖させるに足りる生命・身体に対する害悪の告知であることから、「生命」乃至「身体」「に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した」(法222条)といえる。
また、故意も問題なく認められる。
よって、乙には脅迫罪の限度で共同正犯が成立する。
以上
本答案は、承継的共同正犯について全面否定説に立脚して議論を展開しています。
この点、学説では全面否定説は有力ではありますが、判例は中間説の立場と評価してよいでしょう。最決平成29・12・11(刑集71巻10号535頁)は詐欺罪の承継的共同正犯が認められる旨の判示をしている以上、判例が全面否定説を採用しているとは言い難いです。
したがって、原則としては判例に依拠して書くべきなのですが、承継的共同正犯の論点は大変に難しいので、当てはめで承継的共同正犯(ひいては共犯全体について)の理解不足をさらけ出してしまいかねないというリスクがあります。
実際、令和元年出題趣旨・採点実感を見ると、当てはめで失敗をして、理解不足をさらけ出してしまった答案がそれなりにあったようです。
そうすると、例外的にはなりますが、安全策として、判例の立場ではなく学説で有力に主張されている全面否定説に依拠するという選択肢もあり得るところです。
そこで、刑法が苦手な人のために、本番において大崩れをしてをしないための、「守り」の答案を披露する趣旨で、敢えて、学説において有力に主張されている全面否定説で論述を展開しています。
[1]大塚裕史 著『応用刑法Ⅱ── 各論』(日本評論社、2024年)165頁参照
[2] 大塚裕史 著『応用刑法Ⅰ── 総論』(日本評論社、2023年)542頁参照
[3]大塚裕史 著『応用刑法Ⅰ── 総論』(日本評論社、2023年)542頁参照
[4] 反町義昭『司法試験 体系的問題解析 刑法 第2版』(2024年、成文堂)390頁参照
[5] 橋爪隆『判例講座刑法総論』(立花書房、2025年)410頁参照
[6] 「別冊 法学セミナー 司法試験の問題と解説」2019年、日本評論社、74頁~75頁
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2019年 法科大学院卒業
2019年 司法試験合格(席次300位前後)
司法試験過去問ドキュメンタリー企画等を担当しています。
弁護士実務では、一般企業法務、訴訟法務(知的財産関係訴訟・システム開発訴訟・会社関係訴訟等)、M&A法務、金融法務、景表法法務、個人情報保護法務等を担当しました。

















