新人弁護士は非常に大変です。学ぶ時間もなく次から次へと。どうしたらよいかわからないことが沢山あるかと思います。
司法試験に合格し、司法修習も終えたのに何でこんな分からないんだって思うこともあるでしょう。
弁護士の仕事は、訴訟事件、交渉事件、刑事弁護、契約書レビュー、リサーチ、法律相談、法律記事執筆、多岐に渡ります。繰り返しになりますが、司法修習を終えても、当然、実際に実務に出ると分からないことだらけです。この際、ボス弁、先輩弁護士に相談することは大切ですが、相談する前に一定の調査をし、あたりをつけておきたいものです。他方で、新人弁護士には、時間もありません。日々の業務に加えて、委員会活動、弁護士会の研修、所属事務所の雑務のような仕事もやらねばなりません。
そこで、今回は、忙しい新人弁護士のために、時間のないときにあたりを付けるためのリサーチ、日々のインプットを効率に行うため、ひいては、業務の効率化を図るために、新人弁護士が手元に置いておくべき、おすすめの書籍をご紹介したいと思います。
目次
①若手法律家のための法律相談入門
弁護士と中小企業診断士のダブルライセンス保持者の中村真先生の著書。中村先生の弁護士経験を踏まえた知見を元に、新人弁護士、若手弁護士に向けて法律相談の流れや留意点を解説されています。法律相談を受ける前の準備、法律相談を受けている時の留意点等大変参考になる話ばかりです。
書籍紹介には、「口伝や経験でしか学べない知識」と記載されているように、めちゃくちゃ実践的なアドバイスが盛り込まれています。
本書の目次を一部抜粋すると…
6 あなたの法律相談、レベルいくつ?
資料 よく聞かれる法律相談のトピックあれこれ
7 話し方、聴き方のポイント
8 メモの取り方、記録の残し方
資料 手控えの例
目次
手控えの例も記載されており、中村先生がどのように仕事されているかも垣間見え、新人弁護士には是非一読してほしい書籍となります。
中村先生は本記事で紹介する本意外にも沢山の書籍を執筆されていますのでそちらもお薦めです。調べると色々出てくるかと思います。
②裁判官! 当職そこが知りたかったのです。 -民事訴訟がはかどる本-
中村真先生と岡口裁判官の共著。中村先生が岡口裁判官に質問を投げかけて、弁護士の視点、裁判官の視点から議論をしていくというものです。中村先生の漫画も挿入されていて、楽しく民事訴訟法の手続きを学べかつ、裁判官の率直な考え方を知ることができる貴重な書籍です。
③企業法務のための民事訴訟の実務解説
民事訴訟実務を解説した書籍として、非常に人気の高い書籍だと思います。
弁護士及び民事裁判官としての経験を持つ著者が、民事訴訟の実務における知識と留意点について解説したものです。特に、文献等に明示的な記載がない「実務上の運用」(暗黙知)についても言及されており有益です。参考書式も掲載されています。
司法修習のとかは、以下のピンク本をメインに使っていましたが、実務に出てからはこちらを参照することが多くなりました。
④クロスレファレンス民事実務講義
これは修習の時に購入した方も多いのではないでしょうか。司法修習の時に送られてくる白表紙の民事弁護の資料を一冊に整理したような内容になっており、訴訟実務の流れに合わせて解説がされております。
⑤刑事弁護ビギナーズver.2.1
国選弁護をやるなら必須と言われている刑事弁護ビギナー。国選をされる予定の新人弁護士は持っておくと良いと思います。
弁護活動に必要となる技術やノウハウについて解説。最先端の理論や実務にも言及されており、刑事弁護に携わるので有れば、手元に一冊置いておき、いつでも参照出来るようなしておくことをお薦め致します。最近は、司法修習生も読まれている方が多いかなと思います。
⑥阿部・井窪・片山法律事務所『会社法書式集』
企業法務をやるなら手元にあるも便利だと思います.株主総会や取締役会の開催、株式発行、組織再編を行う際に必要とされる会社法に関係する議事録、通知書類、備置書類などの書式例が示されており、大変有用です。
⑦阿部・井窪・片山法律事務所『契約書作成の実務と書式』
契約書のレビューといえば、この書籍でしょうか。定番の書籍だと思います。
契約書のレビューを定期的に対応しているのであれば、手元に一冊を置いておきたい一冊です。
本書籍では、レビューの機会が多いと考えられる「売買契約書」「取引基本契約書」「不動産売買契約書」「賃貸借契約書」「業務委託契約書」から、合弁契約書等の少し特殊な契約書まで幅広い雛形が掲載されております。
雛形に加えて、各条項の留意点(有利な点、不利な点など)やその趣旨などが解説されております。
新人弁護士も契約書のレビューの機会は、今後かなりあるかとも思います。これからも、手元に一冊置いておき、すぐに参照できるようにしておけば、時短になるかと思います。
非常におすすめの一冊です。
⑧弁護士の周辺学 第2版 実務のための税務・会計・登記・戸籍の基礎知識
弁護士の業務をやっていると、税務、会計、登記、戸籍の知識が必要となる場面に遭遇すると思います。その中でも、登記や戸籍関係は、司法修習でもある程度押さえているかと思いますが、税務と会計についてはさっぱり分からんという方は少なくないはず。
本書は、弁護士が業務を行うために必要となる税務や会計の基本的な知識を実務に即して基礎から解説されています。
⑨Q&A若手弁護士からの相談
ベテラン弁護士と中堅弁護士が若手弁護士からの相談に答えいくもの。本書は、文献を調べても情報が少なかったり、活字にしにくい事象について、ベテラン弁護士及び中堅弁護士が自信の経験を元に可能な限り一般化して解説したものです。
こちらも弁護士の知見が詰まっている点で非常に有益な内容となっております。
⑩弁護士になった「その先」のこと
最後の10冊目は、これです。新人弁護士や若手弁護士がどのような仕事に向き合えばいいのか。仕事を取ってくるにはどうしたらよいのか。これから弁護士になる方や弁護士になられたばかりの方向けに、作法や腕を磨く方法や考え方を解説したものです。元々、新人研修のために作成していたものを書籍化したものとなっています。
比較的薄くサクッと読めますので、一読はされておくと良いかと思います。仕事への向き合い方が変わるかと思います。
たまに読み直すと、初心を思い出せます。お薦めです。
⑪キャリアプランニングのための企業法務弁護士入門
この書籍は、新人・若手弁護士にとって非常に有益な指南書です。企業法務の最前線で活躍するパートナー弁護士が、自身の豊富な経験をもとに、これからの時代に必要なスキルや心構えを具体的に解説しています。特に、企業法務弁護士を目指す方々にとっては、業務の基本から最新のリーガルテックに至るまで、幅広い分野について学べる絶好の機会です。
第1章から始まる「新人弁護士の憂鬱」や「キャリアプランニング」に関する議論は、新人弁護士が直面する課題に対する具体的な解決策を提供しており、これからのキャリアをしっかりと見据えたアドバイスが満載です。また、企業法務の業務内容やその意義についての解説も、実務に直結する情報が豊富で、日々の業務に役立つこと間違いありません。
さらに、AI・リーガルテックの進展によって、これからの弁護士像がどのように変わっていくのかについても詳細に論じられています。技術革新が進む中で、どのようにして自身のスキルを磨き、キャリアを構築していくかという視点は、特に若手弁護士にとって重要な示唆を与えてくれるでしょう。
この本は、企業法務に限らず、弁護士としての基礎力を磨くための貴重なリソースです。これからの弁護士としての道を歩む上で、この一冊を手に取ることで、自信を持って業務に取り組むための確かな指針を得られるでしょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、新人弁護士におすすめの書籍10選として、忙しい新人弁護士が手元に置いておくべき書籍を10冊ご紹介させて頂きました。本記事でご紹介した書籍は、あくまで一例です。優れた書籍は日々出版されています。今後も新人弁護士にお薦め出来る書籍がありましたら、シェアさせて頂きます。
最後に、当サイトは、法律書籍専門の口コミサイトです。司法試験受験生を中心とした法律を勉強されている方を対象とした法律書籍に特化した口コミサイトです。新人弁護士の皆様に置かれましては、是非、後学の為に、司法試験の合格に役立った書籍、司法試験受験生におすすめの書籍のレビューのシェアをお願い致します。
司法試験に合格された新人弁護士の皆様のレビューは、後輩受験生にとって極めて有益です。
▼弁護士がしんどくなったら読んでほしい▼