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余目町個室付浴場事件のどこよりも丁寧な解説【初学者から司法試験受験生まで】

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(挨拶おわり)


この記事では、余目町個室付浴場事件(最判昭和53年5月26日)について、初学者の方でも分かりやすいように、丁寧に解説していきます。

まず初めに、本判決を理解するための3つのポイントと簡単な結論を以下に示しておきます。

1. 余目町個室付浴場事件(最判昭和53年5月26日)どのような事案か
個室付浴場業の開業を阻止するために急遽、児童遊園設置認可処分がなされた事案です。
2. 余目町個室付浴場事件(最判昭和53年5月26日)の判断・結論
児童遊園設置認可処分は、行政権の著しい濫用によるものとして違法である、とし原告の国家賠償訴訟の請求を認容しました。
3. なぜ本件児童遊園設置認可処分は行政権の濫用に当たると言えるのか
児童遊園設置認可処分は、行政権の著しい濫用によるものとして違法である。は、行政権の著しい濫用によるものとして違法である。

目次

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1 余目町個室付浴場事件(最判昭和53年5月26日)の事案

では事案の説明に入りましょう。時系列図を作成しておきましたので適宜参照してください。

昭和43年3月、会社Xは個室付浴場業(ソープランドや風俗店)を営むことを計画し、山形県余目町に土地を購入しました。その際、法的規制の不存在を確認したうえで土地を取得していました。

5月11日、Xの代表者Aは個室付浴場業用の建物の建築確認の申請や公衆浴場営業の許可申請を行いました。
そのころ個室付浴場業の建築に反対した地元住民からの反対運動が活発となり山形県(Y)や余目町は、Xによる営業を阻止しようと考えました。
当時、風営法(旧風営法)では4条の4第1項によって児童福祉法に基づく児童福祉施設の周囲200メートルでの個室浴場の営業は禁止されていました。
そこでYらは建設予定地近く(約134メートル)の児童遊園を、児童福祉法上の児童福祉施設として認可することを考え出しました。

そのため、余目町議会は5月27日に「余目町児童遊園設置条例」を制定し、直ちに山形県知事に対して児童福祉施設の認可を申請し、県知事は6月10日に申請を認可しました。(児童遊園設置認可処分
その後、6月末にはほぼ建物が完成し、Xの公衆浴場の営業は7月31日に許可されました。

しかし、翌年2月にXは旧風営法違反で営業停止処分を受けることになります。
Xは営業停止によって被った損害の賠償を求める訴えを提起しました。

長かったですね。おつかれさまでした。

整理のために乱暴にまとめてしまうと本件でYら行政がやったことは次のようなことになります。

「いかがわしいお店の営業を阻止したい。児童福祉施設の近くだとそういうお店は営業できないらしいぞ。よし、お店の周りの児童遊園を児童福祉施設にしてしまおう!」

逆に、これをXの側から見ると次のようなことになります。

「規制はないということを確認して土地を購入して申請したのに、あっというまに規制を強化されて個室付浴場の営業ができなくなってしまった!」

Xの側からするとひどい話です。そこでXは個室付き浴場の営業を阻止するためになされた本件児童遊園設置認可処分(⑥)が違法であり、それに基づく営業停止処分も違法(⑨)であるとして、そのような違法な処分による損害を賠償せよとして国家賠償訴訟を提起したわけです。

2余目町個室付浴場事件判決(最判昭和53年5月26日)の判断・結論

まず、営業停止命令が違法であるというために本件児童遊園設置認可処分が違法なのかが問題となります。

原告はこの処分が権利濫用であると主張し、裁判所もそのように認定しました。

最高裁は

「原審の認定した右事実関係のもとにおいては、本件児童遊園設置認可処分は行政権の著しい濫用によるものとして違法であり」と述べています。

というより、ほぼこれしか述べていません。

なぜ「右事実関係」があると「行政権の著しい濫用」として違法になるのかはこの判例を読んだだけではわからないのですね。

そこで判例百選の解説を手掛かりにこの問題について少し考えてみましょう。

3 なぜ本件児童遊園設置認可処分は行政権の濫用に当たるといえるのか

3-1 (前提)法の一般原則について

その前提として説明しておくとよいことがあります。

なぜ行政権の濫用が問題となったのかということです。言い換えると、本件児童遊園設置認可処分が違法であるというために、なぜ行政権の濫用を持ち出さなければならなかったのかということです。

ある処分が違法であるといいたいときにまず考えることはなんでしょう。それは処分の根拠法に違反していないか?です。前回の記事でも少し書いた個別法解釈の問題です。

しかし、本件施設は厚生省の定める最低基準を満たしたものでした。つまり、上記のようなXに酷な経緯をたどっているということ以外には本件認可処分には客観的に違法と言えるような瑕疵は存在しなかったということです。

そこで権利濫用という法の一般原則が持ち出されました。信義則、権限濫用禁止の原則、比例原則、 平等原則など法の一般原則は色々とあります。しかし、すぐにこれらの法の一般原則に飛びつくのではなく、まずは個別法からその処分が違法と構成できないか?と考えることが重要でしょう。

3-2 本件処分はなぜ違法と言えるのか。

さて、では本題に入りましょう。なぜ「右事実関係」があると「行政権の著しい濫用」として本件処分が違法になるのかという問題です。

百選の解説は原審や調査官の解説からその論拠を3つ挙げています。

「①児童福祉施設を早急に設置する具体的必要性が存在しなかったこと」

「②個室付浴場の営業を阻止する際には、条例により営業禁止区域を指定することが法の予定するところであり、児童福祉施設の設置による規制は法の予期しない方法であること」

「③Aが法的規制の有無を確認した上で既に相当の資本を投下して開業準備を進めてきたこと」

の3つです。

百選の解説ではそれぞれの説得力について掘り下げて考察されていますが、ここでは簡単にそれぞれどういうことなのかという説明をするにとどめます。

まず①の前提として認可の申請がなされてから本件認可がなされるまで、わずか十数日しかたっていないという経緯があります。(上記時系列図参照)このように極めて早急に手続きがなされたわけですが、個室付浴場を規制する以外にそのように処分を急ぐ必要性はありませんでした。これを問題視する見解が①です。

②は規制したいのなら条例を作って規制するという正規のルートをとるべきだという議論です。

③は法的規制の不存在まで確認して申請し、既に工事費用等の資本を投下しているにもかかわらず営業ができないという不利益が生じてしまっている点を問題視する見解です。

4 おわりに

今回の記事では余目町個室付浴場事件(最判昭和53年5月26日)を通して、行政権の濫用について学びました。裁判所の判断の裏側にある論理を埋めていく作業というのもなかなか勉強になるものですね。

では今回もお読みくださりありがとうございました。

▽参考文献▽

行政判例百選II〔第8版〕 別冊ジュリスト 第261号.

櫻井敬子,橋本博之(2019)『行政法[第6版]』弘文堂.

下山憲治,友岡史仁,筑紫圭一(2017)『行政法』日本評論社.

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この記事を書いた人

法律記事を書いております犬橋です。現在は国立大学法科大学院に在籍しながら、行政法の判例の解説記事を主に執筆しています。

初学者の方にもわかりやすく、興味を持ってもらえるような記事を書くことを目指しています。

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