法学部生の皆さん、そして司法試験を目指す皆さん、司法試験の答案作成は最初の壁に感じるかもしれません。
しかし、基本的なルールと技術をしっかり身につければ、誰でも論点が明確で読みやすい答案を作成することができます。この記事では、基礎的な技術を解説していきます。
この記事で解説をしているは、司法試験の受験生が試験本番で意識していることでもあります。
法学部の期末試験で、実践できれば、とにかく「答案の見栄え」がよくなり、「答案の印象」ががらっと変わります。
目次
1. 論文式答案の心構え
まず最初に、全科目に共通する答案作成の技術を学びましょう。法学部での基礎的な勉強と司法試験の答案作成は少し異なる部分がありますが、以下の点を意識することでスムーズに対応できるようになります。
- 共通の答案作成技術
答案作成には具体的なルールや形式があります。最初は難しく感じるかもしれませんが、これらのルールを守ることで、試験官に論点がしっかり伝わる答案を作成できます。
- 科目別の特徴を把握
民法や刑法といった各科目には特有のポイントがありますが、基本的な答案技術はどの科目でも応用可能です。まずは共通の技術を習得したうえで、各科目の特性を理解していきましょう。
- 準備段階の重要性
答案を書く前に、問題文をしっかりと読み込み、設問の意図や重要なキーワードを把握しましょう。法学部の試験と異なり、司法試験では短時間で問題を解釈し、答案を構成する力が求められます。
2.答案の 形式的要件
次に、答案を書く際の形式的なルールについて解説します。
- 使用する筆記具
答案は原則として黒インクのボールペンや万年筆で記入してください。鉛筆やシャーペンは使用できません。また、修正時には消しゴムを使わず、横線や斜線を用いて訂正します。
- 特定答案を避ける
答案に個人を特定できる記号やマークを記載することは控えましょう。司法試験では、即刻無効答案と扱われる禁じ手です。
- 可読可能な文字で作成する
読めなくては意味がありません。綺麗な文字である必要はありませんが、最低限読める文字で書きましょう。もちろん、答案が読めなかった場合は、ゼロ点となります。
3. 論理的構成と項目立て
答案は構成が明確であることが求められます。
以下の点に留意して、論理的な構成を目指しましょう。
- 項目の分け方
答案は以下のように整理します。
- 大項目(例: 第1)
- 中項目(例: 1)
- 小項目(例: (1)、ア) 必要に応じて要件や論点を分け、論理的な順序で記載してください。
- 法令の引用
初めて法令を引用する際には、「以下、法令名省略」と記載し、それ以降は簡潔に書きます。また、複数の法律を扱う場合は、どの法律に基づく議論かを明確にしましょう。
- 論点の優先順位
試験ではすべての論点に触れることが難しい場合もあります。そのため、重要度の高い論点を厚く論述し、重要度の低い論点はさらっと論述するなど、答案にメリハリをつけて、採点官が注目すべき箇所を明確にすることが重要です。
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4. 論述内容の整理と表現方法
答案の内容を整理するためには、以下のような構成を基本にします:
- 意味のまとまりを意識
「要件の説明 → 当てはめ → 結論」の形式を基本とします(法的三段論法といいます)。条文や判例を適切に引用し、自分の考えを論理的に展開してください。
- 事例問題への対応
事例問題では、事実をどのように法的に評価するかが重要です。設問の指示に従い、具体的な事実を当てはめながら論じるようにしましょう。
- 読みやすさの工夫
教授が数多くの答案を採点することを考え、読みやすい文字で書き、簡潔な文章でまとめましょう。また、論述のメリハリや結論を明確に記載することも重要です。
- 表現の一貫性
同じ概念を指す際には、同じ表現を用いることで読み手の混乱を防ぎます。また、主語と述語を明確にし、文章の流れを整えることも重要です。法律の論文答案では、言葉を明確に使い分ける必要があります。
論文答案の実質的な書き方に関して、以下の記事を参考にしてください。
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5. 最後の確認事項
答案作成が完了したら、以下の点を確認してください。
- 答案の終了
答案の最後に「以上」と記載し、それ以上の記述がないことを示します。これにより途中答案との区別が明確になります。
- 誤字脱字のチェック (余裕があれば)
記載内容に誤字や脱字がないか確認しましょう。特に条文番号や法律名の誤りは減点対象となることがあるため、注意が必要です。
- 採点官への配慮
読み手が負担を感じないよう、分かりやすい構成と丁寧な表現を心がけましょう。試験官にとって「読みやすい答案」は、高評価につながります。
以上が、法律の論文式試験の答案作成の基礎技術です。
法学部の授業で学んだ知識を応用し、司法試験に必要な答案作成技術を身につけていきましょう。この基本をしっかり習得し、実際の答案練習に活用してください。しっかりと準備を重ね、試験本番で力を発揮できるよう頑張りましょう!
法学部生の期末試験対策については、以下の記事で詳細に解説しています。
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