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この記事では、近鉄特急料金変更認可事件(最判平成元年4月13日)について、初学者の方でも分かりやすいように、丁寧に解説していきます。
まず初めに本判決を理解するための3つのポイントと簡単な結論を以下に示しておきます。
1 本判決はどのような事案か
鉄道会社である近鉄が特急料金の値上げについて大阪陸運局長から認可処分を受けました。定期券を購入し日常的に近鉄を利用して特急に乗車していたXらが同処分の取り消し訴訟を提起しました。
2 本判決の論点
本判決の論点はXらに原告適格が認められるかということです。
3 本判決の判断
本判決はXらの原告適格をみとめませんでした。その理由は利用者の個別的利益が根拠法である地方鉄道法では保護されていないと考えたからです。
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鉄道会社である近鉄が特急料金の値上げについて大阪陸運局長から認可処分(地方鉄道法(すでに廃止)21条)を受けました。認可を受けると近鉄は値上げを実現することができるわけですが、消費者(鉄道利用者)としてはこれを阻止したいという気持ちになります。そこで、定期券を購入し日常的に近鉄を利用して特急に乗車していたXらが同処分の取り消し訴訟を提起しました。
本判決の論点はXらに原告適格が認められるかという点です。Xらは鉄道の利用客であり消費者といえるため、本判決は消費者の原告適格について判断を示した一例と言えます。
さて、原告適格の有無はどのように判断するのでしょうか。
過去の記事でも解説しましたが、大切な事なので本記事でも改めて確認したいと思います。
原告適格のある者とは「法律上の利益を有する者」(9条1項)のことを言います。そして「法律上の利益」は処分により自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害又は必然的に侵害されるおそれのある者にみとめられます。そして、当該処分を定めた行政法規が不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益に吸収・解消させるにとどめず、個々人の個別的利益としても保護する趣旨の場合には、当該利益は法律上保護された利益にあたります。その判断の際には行政事件訴訟法9条2項を考慮します。(もっとも本判決当時は9条2項はなかった)
難しい言い回しでよくわからなかったという方もいるかもしれません。
要するに原告が「自分に原告適格がある」というためには「自分は法律上保護された利益を享受していて、それが処分で侵害される」と言えばよいのです。
すると、原告の享受する利益が法律上保護された利益か?ということが決定的に重要になってきます。では法律上保護された利益であるかはどう判断するのでしょう。
ある利益が法律上保護された利益であるか否かの判断は判例上①そもそも根拠法がその利益を保護しているか、②その利益を根拠法が個別的に保護しているかの2段階で判断されます。学説上①を保護範囲要件、②を個別保護要件と呼んで整理する見解が一般的です。
抽象論だけでは少しわかりにくいと思うので図にして考えてみましょう。
この図ではCの部分が法律上保護された利益です。
最高裁は①(保護範囲要件)で、AではなくBに含まれる利益を原告が有するかを検討します(AorB)。
そして②(個別保護要件)で、Bのなかでもさらに特別なCの利益を原告が有するかを検討します(BorC※)。
原告がCの利益を持ちそれを侵害されるのなら原告適格が認められます。
※CはBの一部であり、②はBの中でも特にCに当たるかという判断なのでBorCという表現は不正確ですが図と照らし合わせた時の視覚的わかりやすさを考慮して本記事ではそう呼ぶことにしたいと思います。
さて、判断の構造はお判りいただけたかと思いますが、では実際に①や②はどのように判断するの?という問題が生じます。
①はある法律がどんな利益を保護しているのですか?という問題です。これはその法律を見るしかありません。ただ法律の規定を見るだけではなく、その法律や関係法令の趣旨目的を見ることによって判断すべきとされています(行訴法9条2項)。
②はその利益が誰でも享受できる公益として保護されているのか、それとも特定の人の享受する個人的利益として保護されているのかという違いです。ここでは広く薄く保護されている一般人の利益(B)から、特定の人たちの個別的利益保護が切り出せるか(C)という判断がなされます。①と同様その法律を見ることで判断される場合もありますし、その権利の内容・性質や仮に事故などが起きた場合の損害の性質などから判断することもあります。
では本判決の判断です。
次の文を読んでみて下さい。
「同条の趣旨は、もつぱら公共の利益を確保することにあるのであつて、当該地方鉄道の利用者の個別的な権利利益を保護することにあるのではなく、他に同条が当該地方鉄道の利用者の個別的な権利利益を保護することを目的として認可権の行使に制約を課していると解すべき根拠はない。」
判例はこのように言ってXらの原告適格を否定しました。
さて、ではここで問題です。この文章は
①保護範囲要件(AorB)の話をしているのでしょうか?
②個別保護要件(BorC)の話をしているのでしょうか?
ヒントは太字化されているところです。
正解は②になります。
法が保護しているのが一般に保護された公益なのか、特定の人たち(本件では鉄道利用者)の個別的な利益なのか?という判断をしていますね。これは上で見たように②の判断です。
ここから、この判例が「原告は個別的に保護された利益(C)を有しないので法律上保護された利益を持たず原告適格はない」と判断したことが分かります。
今までの記事の流れからすると①の保護範囲要件(AorB)の話が先に来るはずだが、それはどうしたんだ?と言われそうですが本判決では②のみが問題となりました。(なお、皆さんが答案を書くときには①も問題とした方がよいと思います。)
本件で問題となった鉄道利用者の利益のような消費者利益は一般に②を突破するのが難しいとされています。消費者一般の利益(B)の中から区別されて特に保護されている特定の利益(C)を切り分けることが難しいからです。一般消費者の中から、「特にこの人達が保護されているのです」と切り分けるのは困難でしょう。(次回のもんじゅ訴訟の記事で詳しく説明しているのでそちらをお読みください)。
補足
1つ重要ことは、本判決を一般化して「鉄道利用者には原告適格が認められないのね」と覚えてしまうと大変危険です。東京高判平成26年2月19日(以下裁判例という)では反復継続して日常的に鉄道を利用する者に原告適格が認められたからです。
本判決との違いは処分の根拠法が違うこと(本判決は地方鉄道法、裁判例では鉄道事業法)、日常的利用者であることの評価が違うことが指摘出来ます。本判決は日常利用者性を重視しません(「たとえ上告人らがD鉄道株式会社の路線の周辺に居住する者であつて通勤定期券を購入するなどしたうえ、日常同社が運行している特別急行旅客列車を利用しているとしても」原告適格を認めませんでした)。裁判例では日常利用者が鉄道を反復継続的に利用することに着目し、そのような者は値上により「日常生活の基盤を揺るがすような重大な損害」を被りかねないとしています。一般人の公益の中から反復継続して利用する特定の利用者の利益を切り出しているのです。
今回の記事もお読みくださりありがとうございました。
参考文献
行政判例百選II〔第8版〕 別冊ジュリスト 第261号.
櫻井敬子,橋本博之(2019)『行政法[第6版]』弘文堂.
下山憲治,友岡史仁,筑紫圭一(2017)『行政法』日本評論社.
海道俊明,須田守,巽智彦,土井翼,西上治,堀澤明生(2023)『精読行政法判例』弘文堂
橋本博之(2023)『行政判例ノート <第5版>』弘文堂
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法律記事を書いております犬橋です。現在は国立大学法科大学院に在籍しながら、行政法の判例の解説記事を主に執筆しています。
初学者の方にもわかりやすく、興味を持ってもらえるような記事を書くことを目指しています。