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消滅時効と債務承認に関する法的考察

消滅時効と債務承認に関する法的考察

消滅時効の基本概念とその法的効果

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消滅時効とは、時効が完成した場合に債務者がそれを援用することで、債務が消滅するという制度です。

消滅時効の効果が発生するためには、債務者が時効を援用する必要があります。

消滅時効に関する重要な論点として、時効が完成した後に債務者が債務の承認をした場合に、債務者が時効を援用することが許されるかという問題があります。

この論点について示した判例があるので、しっかり押さえておきましょう。

目次

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消滅時効の制度はなぜ存在するのか?

時効完成後の債務の承認について理解するための前提知識として、まず消滅時効の制度を簡潔に説明します。

ある権利が行使されないまま一定期間が経過した場合に、その権利を消滅させる制度を、消滅時効といいます。

  • 長期間続く事実関係に対する保護

    ある事実状態が長い間続いていると、人々はそれを正しいものとして受け入れ、その前提でさまざまな法律関係(契約や権利のやり取りなど)を築いていきます。こうした中で、あとになって「やっぱりその事実は間違っていた」として本来の権利状態に戻そうとすると、それによって既にできあがっている人々の関係や社会のルールが大きく乱れてしまうおそれがあります。そこで法律では、一定の期間続いてきた事実状態については、それが正しいかどうかにかかわらず、そのまま法的に認めることが社会の安定につながるという考え方がとられることがあります。
  • 権利の上に眠れる者は保護しない

    たとえ今ある法律上の関係が本当の事実とは違っていたとしても、本来の権利を持っている人が長いあいだ何も行動を起こさずに放っておいた場合には、その人を特別に守る必要はないという考え方があります。これは、「権利があるのに何もしなかった人は、法律に守ってもらえない」という原則にもとづいています。このような考え方では、時効という制度は、「長い間、自分の権利を使わなかったことへのペナルティ(制裁)」としての意味を持つとされています。
  • 証明困難の救済

    ある事実が長いあいだ続いてきた場合、その事実が本当に法律的に正しいものだったかどうかを、はっきりとした証拠を使って証明するのが難しくなることがあります。たとえば、昔の借金をすでに返し終わっていたとしても、何十年もたってから突然「まだ返してもらっていない」と言われた場合、借りた側が「もう返しましたよ」と証明するのはとても難しいでしょう。こうした状況をふまえて、「時効」という制度を、証明が難しい立場にある人(この場合は債務者)を守るための仕組みと考えられています。

以上の問題があることから、ある事実状態が一定期間継続した場合に、その事実状態を尊重し、それに基づいて権利を消滅させることを認めたのが、消滅時効の制度趣旨です。

なお、民法における消滅時効期間は、債権の種類を問わず、権利を行使できることを知った時から5年、または、権利を行使できる時から10年です。

(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。

たとえば、甲が乙に自動車を100万円で売却した場合、甲は乙に対して、100万円を支払うことを請求できる債権を有しています。

しかし、甲が乙に対して、支払いの催促などの一切の行為を行わずに10年が経過した場合、消滅時効が完成しています。

よって、10年後に甲が乙に対して自動車の代金を請求した場合、乙は消滅時効を援用して、代金の支払いを拒否することができるのです。

時効の援用とは

注意点として、時効の期間が満了したとしても、債務者が時効を援用しなければ、債務は消滅しません(民法145条)。

(時効の援用)
第百四十五条 時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

たとえば、甲が乙に金銭を貸し付けた後に、支払期限後に何もせずに20年が経過した場合、その債権は時効の期間は満了しています。

しかし、債務者である乙が時効の援用をしない限り、債権は消滅せずに存続します。

消滅時効の援用とは、債務者が時効の利益を受けることを債権者に対して伝える意思表示です              。

債務者が時効の援用をした場合にはじめて、債権者の権利が消滅します。

消滅時効の効果を発生させるために時効の援用が必要な理由は、消滅時効の制度は債務者の利益のためにあるからです。

よって、消滅時効の期間が満了した後であっても、債務者が自らの意思で債務を履行することを望むのであれば、債務を時効によって消滅させる必要はありません。

以上を理由に、消滅時効の効果を発生させるためには債務者による時効の援用が必要とされているのです。

試験対策としては、時効の効果を発生させるには、債務者による時効の援用が必要という点が重要です。

債務の承認とは

債務の承認とは、消滅時効の完成によって利益を受けるべき者(主として債務者)が、債権が存在することを債権者に対して認めることです。

消滅時効が完成した後に、債務者が債権者に対して、債務が存在することを認めたり、債務の返済の猶予を依頼したりすることは、債務の承認にあたります。

たとえば、甲が乙に対して100万円を貸し付けた後、支払期限から何もせずに10年が経過した場合、甲の乙に対する債権は消滅時効にかかっています。

その後、甲が乙に連絡をして100万円の返済を請求したところ、乙が「借金をしたことは認める。今は返済の余裕がないので、一ヶ月待ってくれ。必ず返すから」と返答したとしましょう。

この場合、「借金をしたことは認める」という部分は、債務の存在を認めています。そして、「一ヶ月待ってくれ」という部分は、債務の返済の猶予の依頼にあたります。これらはいずれも、債務の承認に該当します。

以上のように、消滅時効の期間が完成したにもかかわらず、債務者が債務の承認をした場合に、時効の効果が認められるかが問題になります。

時効完成後の債務の承認についての判例

時効完成後に債務者が債務を承認した場合の効果について判示した判例として、最高裁昭和41年4月20日があります。

同判例において争点となったのは、以下の2点です。

  • 消滅時効が完成した後に債務者が債務の承認をした場合、その承認は、時効の完成を知ってしたものと推定してよいか
  • 消滅時効が完成した後に債務者が債務を承認した場合、債務者が消滅時効を援用することが許されるか

同判例は争点①については、推定は許されないと判断し、推定が許されるとしていた従来の判例(昭和35年6月23日)を変更しました。

その理由として、消滅時効が完成した後に債務者が債務の承認をする場合、時効が完成したことを債務者が知っているのは異例であり、時効の完成を知らないのが通常であることを挙げています。

要するに、時効の完成後に債務者が債務の承認をする場合、時効が完成したことを知らないのが一般的なので、時効の完成を知っていたと推定することは許されないと判断したのです。

次に、同判例は争点②については、債務の消滅時効が完成した後に、債務者が債権者に対して債務の承認をした場合は、債務者が債務の消滅時効が完成した事実を知らなかったとしても、債務者はもはや消滅時効の援用をすることは許されないと判断しました。

その理由として、同判例は以下の4点を挙げています。

・時効が完成した後に債務者が債務の承認をすることは、時効によって債務が消滅したと主張することとは相容れない行為である

・債務者が債務の承認をすることは、債権者からみると、債務者はもはや時効の援用をしない趣旨であると考えるであろう行為である

・よって、債務者が債務の承認をした後は、債務者が時効の援用をすることは認めないと解することが、信義則に照らし妥当である

・以上のように解することは、永続した社会秩序の維持を目的とする時効制度の存在理由に反するものではない

そして結論として、時効が完成した後に債務者が債務を承認した以上は、債務者が時効が完成した事実を知らなかったとしても、債務者は消滅時効の援用をすることはできないとしました。

時効完成後の債務の承認の判例のポイント

同判例の判断のうち特に重要なのは、争点2(消滅時効が完成した後に債務者が債務を承認した場合、債務者が消滅時効を援用することが許されるか)についてです。

同判例は、債務者が時効完成後に債務の承認をした場合は、時効の完成を債務者が知っていたかどうかにかかわらず、その後に時効を援用することは信義則上許されないとしました。

その理由として、債務の承認は時効の援用と矛盾する行為であること、債務者がもはや時効の援用をしないだろうと債権者が考えるであろうことを挙げています。

試験対策としては、債務者が時効の完成について知らなかった場合でも時効の援用は許されないことと、時効の援用が許されない根拠として信義則を用いていることが重要です。

判決文を読んでみよう!

余裕がある方は、判決文の抜粋を掲載していますので、実際に判決文を読んでみましょう。全文を読みたい方は、最高裁HPをチェック。

「案ずるに、債務者は、消滅時効が完成したのちに債務の承認をする場合には、その時効完成の事実を知つているのはむしろ異例で、知らないのが通常であるといえるから、債務者が商人の場合でも、消滅時効完成後に当該債務の承認をした事実から右承認は時効が完成したことを知つてされたものであると推定することは許されないものと解するのが相当である。したがつて、右と見解を異にする当裁判所の判例(昭和三五年六月二三日言渡第一小法廷判決、民集一四巻八号一四九八頁参照)は、これを変更すべきものと認める。しからば、原判決が、上告人は商人であり、本件債務について時効が完成したのちその承認をした事実を確定したうえ、これを前提として、上告人は本件債務について時効の完成したことを知りながら右承認をし、右債務について時効の利益を放棄したものと推定したのは、経験則に反する推定をしたものというべきである。

しかしながら、債務者が、自己の負担する債務について時効が完成したのちに、債権者に対し債務の承認をした以上、時効完成の事実を知らなかつたときでも、爾後その債務についてその完成した消滅時効の援用をすることは許されないものと解するのが相当である。けだし、時効の完成後、債務者が債務の承認をすることは、時効による債務消滅の主張と相容れない行為であり、相手方においても債務者はもはや時効の援用をしない趣旨であると考えるであろらから、その後においては債務者に時効の援用を認めないものと解するのが、信義則に照らし、相当であるからである

また、かく解しても、永続した社会秩序の維持を目的とする時効制度の存在理由に反するものでもない。そして、この見地に立ては、前記のように、上告人は本件債務について時効が完成したのちこれを承認したというのであるから、もはや右債務について右時効の援用をすることは許されないというわざるをえない。しからば、原判決が上告人の消滅時効の抗弁を排斥したのは、結局、正当であることに帰するから、論旨は、採用できない。」

時効完成後の債務の承認のまとめ

消滅時効の効果を発生させるには、債務者が時効を援用する必要があります。

しかし、時効が完成した後に債務者が債務の承認をした場合は、債務者が時効の完成を知っていたかどうかにかかわらず、信義則上もはや時効の援用をすることは許されないとするのが判例です。

試験対策としては、債務者が時効の完成を知らなかったとしても時効の援用ができないことと、信義則に基づいて時効の援用が禁止されることを押さえておきましょう。

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この記事を書いた人

法科大学院生修了生です。法スタでは、民法の重要論点解説記事を担当しています。

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