予備試験ルート:法科大学院より低コストで法曹になるチャンスとリスク

「予備ルートか法科大学院ルートか悩んでいる」

「予備試験に合格することはどれだけメリットがあるのたろう」

「在学受験が可能になったから予備試験のメリットは小さくなったのでは」

あひるっぺ

予備試験なんて無理だよー、難しすぎる

かもっち

ふん、そんなの当然のことだろう。

それでも目指すだけの意味があるんだ。

まったく、そんなことにも気づかないなんて。

あひるっぺ

クワァック!どんなメリットがあるのか教えてー

この記事を読まれている方は予備試験にチャレンジするかどうか悩まれている方だと思います。予備試験は、旧司法試験の制度と似ており、その難易度も昔の旧司法試験相当と言われています。

どうしてそんな難しい予備試験にチャンレンジする人が多いのでしょうか?

それは、予備試験に合格することに多大なメリットがあるからです。

本記事では、

①そもそも予備試験ルートで司法試験合格を目指すメリットとデメリット

②予備試験に合格した際のメリット

についてそれぞれ解説させて頂きます。

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予備試験ルートとは?

司法試験を受験するためには、受験資格を取得する必要があります。

現行の司法試験制度では、以下のいずれかを満たしていることが受験資格のために必要です。

司法試験の受験資格

①法科大学院を修了すること
or
②予備試験に合格すること

予備試験ルートのメリット、デメリット

「予備試験合格者は優秀」に見られるため、弁護士や検事など法曹を目指す際に魅力的な「予備試験ルート」。

しかし、その選択をする前に、予備試験ルートのメリットとデメリットをきちんと理解することは非常に重要です。

法科大学院経由(法科大学院ルート)で司法試験合格を目指すのか、予備ルートで目指すのかであなたの人生は大きく変わります。

まずは、予備試験ルートのメリットとデメリットを詳しく解説させて頂きます。

予備試験ルートのメリット

1. 費用の負担が軽減される

司法試験を目指す上で、予備試験ルートを選択する最大の利点の一つは、経済的費用の軽減です。法科大学院に通うための学費は、数百万円にも及びます。これに対し、予備試験ルートでは、学費を一切必要とせず、予備校の受講料や生活費など、最低限の費用のみが必要となります。

これは特に、できるだけお金を節約したい方にとって大きな利点となります。

もちろん、予備校の受講料は無視できない費用ですが、法科大学院の学費と比較すると、はるかに手頃な金額と言えるでしょう。

特に、近年は、オンライン講義が主流となっており、低価格で予備校の講義を受講できるようになりました

2. 短期間で司法試験受験のチャンスがある

予備試験ルートは、時間的にもメリットがあります。例えば、予備試験に合格すれば、法科大学院ルートよりも早く司法試験を受けることが可能です。法科大学院に通うルートでは、大学4年間と大学院2年間、合計6年間の教育期間が必要です(なお、現在は法曹コースが新設されたため必要な教育機関は5年に短縮されています。しかし、予備試験ルートでは、最短で合格する人は1、2年の学習で予備試験に合格し、その翌年に司法試験を受けることが可能です。

在学中受験、法曹コースの新設により時間的メリットは相対的に小さくなった

(文部科学省「法曹コース」とは)

法曹コースの新設と法科大学院在学中の受験が可能になったため、最短で大学入学から6年で法曹資格取得が可能になっています。

したがって、時間的なメリットは、従来に比べて相対的に小さくなっています。

3. 受験資格の制限がない

予備試験ルートのもう一つの大きなメリットは、学歴や年齢などの制限が一切ないことです。予備試験は、どなたでも何度でも受験することができます(この意味で非常にフェアな試験です)。

一方、法科大学院を受けるためには、大学の卒業資格が必要となります。このため、高校卒業や大学中退など、大学に進学しなかった人でも、予備試験を経由して司法試験に挑戦する機会があります。

社会人におすすめの予備ルート

例えば、既に社会人で会社に勤務をしている方は、なかなか法科大学院に通学することは難しいかと思います。社会人の方にとっても、仕事を辞めることなく司法試験を目指せるという点でメリットとなります。

予備試験ルートのデメリット

しかし、予備試験ルートにはデメリットも存在します。デメリットを理解することで、あなたがどのルートを選択するべきか、より明確な判断ができるかと思います。

1. 高い難易度【日本1難しい?】

予備試験は、その難易度の高さで知られています。

以下は、予備試験の合格率を整理したグラフです。

年度短答論文口述最終合格率
令和4年度21.717.898.13.6
令和3年度23.218.298.14.0
令和2年度23.819.095.74.2
令和元年度22.919.196.44.0

予備試験の直近4年間の最終合格率はなんと4%前後です。非常に厳しい結果となっています。

そのため、予備試験に短期間で合格することは、困難な挑戦と言えます。

その結果、予備試験ルートを選んだとしても、司法試験までたどり着けない可能性もあります。これは非常に大きなデメリットと言えます。

他方で、法科大学院経由の場合は、仮に司法試験に不合格となった場合であっても、法科大学院を卒業をしているため、民間就職をする際にこの点が就職活動で有利に働くことがあります。

したがって、学生が挑戦するのはメリットがあるといえますが、社会人が仕事を辞めてまで予備試験ルートで司法試験合格を目指すことは、仮に駄目であった際のダメージが大きいかと思います。

よって、社会人の方は、法科大学院に進学するか、社会人をしながら予備試験に挑戦するという選択が一般的に合理的かと思います。

2. 学習環境の問題

法科大学院に進学すると、専門的な知識を習得するための環境が整っています。学者教授や実務家教授との直接的なやりとりや、同じ目標を持つ学生との議論やゼミ活動など、学習の質を高める機会が多くあります。

他方で、予備試験ルートでは、これらの環境は自分自身で作り出さなければならない場合がほとんどです。

したがって、自己管理能力が低い方にとっては、予備試験ルートは過酷かもしれません。

3. ネットワーキングの機会が限られる

これもデメリットの一つかと思います。

法科大学院では、将来の法曹や学者の先生方、実務家の先生方とのネットワーキングを構築する機会が豊富にあります。

これらの関係は、法曹になってからのキャリア形成において重要な役割を果たすことがあります。多くの法科大学院では、同窓会が存在し、法科大学院修了後も定期的に修了者同士で集まる機会があります。しかし、予備試験ルートでは、そのような機会は限られています。

他方で、法曹になってしまえば、法科大学院の同窓会に限られず、委員会活動や弁護士会の活動で他の法曹と知り合いになる機会はたくさん存在します。

法科大学院においてネットワーキングを構築する機会があることは大きなメリットでありますが、決定的な理由にはならないかと思います。

予備試験の合格で得られるもの

続いて、予備試験合格のメリットを解説させていただきます。

予備試験合格のメリットとして、①就職に有利、②司法試験合格率が高い、の二つは確実だと思います。一つずつ説明をさせていただきます。

就職に有利

予備試験は、法曹を目指す人々が合格する必要のある試験の一つであります。この試験に合格することは、将来の就職活動において大きなアドバンテージとなる場合があります。

一般的に、予備試験は合格率が低く、合格者数が限られているため、合格者は優秀であると考えられます。したがって、中規模以上の法律事務所での就職活動において、予備試験に合格していることが有利に働くことがあります。

4大事務所は予備合格だけでは不十分?

ただし、4大法律事務所においては、予備試験に合格しているだけでは、必ずしも採用につながらない場合があります。これらの法律事務所は、優秀な人材を求めており、予備試験の合格だけでなく、他の要素も重視されることが多いためです。例えば、大学の成績や語学能力、研究経験など、多様な観点から評価されることがあります。

それでも、予備試験合格が4大事務所の就職で大きなアドバンテージになることは間違いないです。4大事務所のような大手事務所に就職することを希望している方は、予備試験を目指されるのもアリかと思います。

司法試験に合格するほどの知識と能力

予備試験に合格した人々は、司法試験に合格する方が非常に多いというデータがあります。

合格で得るというのではありませんが、合格時には司法試験に合格するほどの知識と能力を身に着けている人が多いです。

予備試験に合格した人々の中から、司法試験に合格する方の割合は驚異的に高く、90%程度の合格率を出すことがあります。法科大学院からの受験者の司法試験合格率が30%代ですので、90%という合格率がいかに高い数字かが分かります。

予備試験に合格する実力は、司法試験に合格する実力にかなり近いです。

したがって、予備試験に合格することは、最終目標である司法試験に向けての勉強においても、大きな自信となるでしょう。

しかし、予備試験に合格したからといって、司法試験に合格することが保証されるわけではありません。したがって、予備試験合格後もきちんと勉強を続けていく必要があります。

最近では、法律業界でも多様性が求められるようになっており、女性やLGBTQ+の方々、外国籍の方々など、多様な人材が求められています。日本の法科大学院へ通った方々の中にもいらっしゃるかとは思いますが、より様々なバックグラウンドを持った予備試験合格者は、法曹の中で限られているため、そのような貴重な経験を持った人材として、法律業界での活躍が期待されています。

予備合格は人生を変える

つまり、予備試験に合格することは、司法試験合格に向けた大きな前進となり、さらにその後の就職活動で有利になります。予備試験の合格によりあなたの人生は大きく変わると言えます。

それだけ、影響力のある試験であり、各法曹関係者が予備試験を高く評価しているからです。

令和4年司法試験のデータ

先ほど述べたように、予備試験合格者の司法試験合格率は非常に高いです。例えば、令和4年度の司法試験において、予備試験合格者の合格率は97.5%に達し、法科大学院卒業生と比較しても圧倒的な数字を示しています。

他方、京都大学法科大学院の合格率は68.0%、東京大学法科大学院の合格率は60.9%、一橋大学法科大学院の合格率は60.0%、慶應義塾大学法科大学院の合格率は57.5%となっています。これらの数字と比べると、予備試験合格者の合格率が非常に高いことがわかります(上位ロースクールの合格率も非常に高いです)

令和4年度の司法試験のデータからも、予備試験合格者が司法試験において高い合格率を誇っていることが明らかとなりました。これは、予備試験を通じて得た法律知識や試験対策のスキルが、司法試験においても大きな強みとなることを示しています。今後も、予備試験合格者が司法試験で優れた成績を収めることが期待されます。特に、法科大学院と比較して予備試験合格者の合格率が高いことから、これから司法試験を受験しようと考えている方々にとって、予備試験ルートを検討する価値があることがわかります。

最後に

以上、予備試験ルートのメリットとデメリットについて概観しました。

最終的な選択はあなた自身の目指す目標、現状の状況、そして取り組みたい挑戦によって左右されるでしょう。ただし、どちらの道を選ぶにせよ、法律専門職になるためには、専門知識を習得し、厳しい試験に合格しなければなりません。

そしてそれは、時間と労力をかけて取り組むべき課題であることを理解することが重要です。

また、予備試験ルートでの成功は、個々の努力だけでなく、適切な指導や支援も必要です。

予備校の講座を利用したり、専門家からのアドバイスを得たりすることで、効率的に学習を進めることが可能です。また、自学自習の場合でも、計画的に学習を進めることが重要となります。

それぞれのルートには、それぞれのメリットとデメリットがあります。しかし、最終的には、各人の目標や置かれている環境等を踏まえてどの道を選択するかを決定する必要があります。

そのためには、自身の目指す目標を明確にし、現在の状況を正確に把握し、どのルートが最適なのか慎重に検討しましょう

予備試験ルートを選んだ場合でも、法科大学院を選んだ場合でも、最終的には司法試験に合格する必要があります。今回は、予備試験の難しさについて詳細に説明をさせて頂きましたが、法科大学院を終了するためにも当然、多大な労力や時間が必要となります。

自分自身の選択を信じ、その道で全力を尽くすこと

どちらの道を選んだとしても、大切なことは、自分自身の選択を信じ、その選択に向けて全力を尽くすことです。

司法試験は、どのルートを選ぼうとも、困難な挑戦です。しかし、その困難を乗り越えた先には、あなたが目指す夢が待っています。その夢に向かって、一歩一歩進んでいくことを忘れないでください。そして、法書ログでは、情報提供という方法で法曹を目指す方々を支援できればと考えています。

かもっち

本気で目指すなら予備校の利用も検討したか?

司法試験予備校は法学指導のプロ。効率よく利用しようという考えが大切だ。

予備試験を本気で目指すのなら予備校の利用もおすすめです。予備試験や司法試験は、独学ではなかなか合格が難しいのが現実です。予備試験ルートで司法試験を目指すのなら予備校の利用を検討しても良いかと思います。

法書ログでは、人気司法試験予備校の読者アンケートを実施しています。165名の回答に基づき人気司法試験予備校については、以下の記事をご確認ください。

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