司法試験、予備試験の論文が書ける気がしない。
何から論文対策を始めたら良いの?
安心してください。論文対策に悩むのは、司法試験合格者が必ず経験することです。
躓かないように論文を対策するためには、最も大切なことは、どうすれば「論文を書けるようになるのか」を理解することです。
まずは、論文答案の構成要素を理解し、その構成要素ごとに対策を考えるようにしよう!
≪この記事のポイントまとめ≫
・躓かない司法試験予備試験の論文対策の方法
論文答案の構成要素を理解し、その構成要素ごとに対策を考える
・司法試験・予備試験の論文対策の方法
・問題の所在を的確に示す
・問題の解決基準を理由と共に提示する
・規範を事案に当てはめて自分の言葉で評価ができるようになる
・問題提起に対する解答を明示する
「得点する論文」のための「確認ポイント」
まずは、司法試験予備試験の論文が書けるようになるためには「何ができなければならないのか?」について解説をさせて頂きます。漠然とした「論文が書けない」という課題から、細分化して課題を捉えることで何をすべきなのかが明らかになります。
そこで、まず「論文の構成要素」を理解しましょう。4つのパートから構成されています。
司法試験予備試験の「論文の構成要素」
①問題の所在の摘示し、問題提起
②解決基準を定立
③解決基準を事案に適用
④問題提起に対する回答を明示
それぞれ大切な工程だ!一つずつ見ていくぞ!
「論文の構成要素」の例も踏まえて、解説していくぞ!
構成要素がもれなく行われているか、以下の点を確認していきましょう。
①「問題の所在」を摘示し「問題提起」できているか?
「合格答案」を作成するためには、「与えられた事案における問題点」を探すところから始まります。
「問題の所在」に気づくことができなければ、「その論点に関する配点」を全て落とすことになります。
メジャーな論点で、「多くの受験生が気づく論点」を落としてしまうと、かなり不利になってしまいます。(非常に細かい論点であれば「論点落ち=不合格」とまではなりませんが…)
▽問題提起の例▽
甲は、乙より自転車を占有改定を受けているが、占有改定は「占有を始めた」(民法192条)に該当するかが問題となる。
②問題の「解決基準(規範)」を定立できるか?
「問題の所在」に気づくことができたら、その問題の「解決基準(規範と言われるもの)」を提示する必要があります。
「規範定立」をする際には、出来るだけ「理由付け」をしましょう。「規範」があれば、その後のあてはめも可能ですが、「なぜその規範を定立するのか?」や「その理由」についても論述するようにしましょう。
「規範定立」は、かならず配点がされている点だと思いますが、その事案における「問題の重要性」に応じて、その「規範の長さ」を調節する必要があります。
些末な論点で、長々と「規範定立」をしてしまうと、バランスの悪い答案になりますし、その他の配点事項を落とすことにつながります。
なお、「規範定立」については、各予備校が出版している「論証集」と呼ばれるものを利用することをお勧めいたします。初学者の場合、「規範定立」と言われても、中々イメージが持てないかと思います。まずは、予備校「論証集」を参考にして、「規範定立」のイメージを持つようにしましょう。
「②問題の解決基準の定立」は「論証集」で対策すればいいんだね!
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▽規範定立の例▽
即時取得制度は、占有という動産に関する権利の外形を信頼し、所有者の支払領域を離れて流通するに至った動産に対して、支配を確立した者を保護する制度である。したがって、「占有を始めた」とは、一般外観上従来の占有状態に変更を生ずるがごと占有を取得するいうと解するのが相当である。
③規範を事案に「当てはめて評価」ができるか?
「規範定立」の後は、「事案への当てはめ」が必要となります。この「あてはめ」部分で、差が出来ると言われています。
「規範定立」の部分は、「論証集」を暗記していれば対応が出来てしまいます。ただ、あてはめは「規範」をきちんと理解していなければ、適切に当てはめることができません。
▽事案へのあてはめの例▽
占有改定とは、代理人が事故の占有物を以後本人の為に意思を表示したことによって占有権を取得するものであるが、占有改定による占有の外観に変更が生じるわけではない。したがって、占有改定は、一般外観上従来の占有状態を変更するがごとき占有の取得とは言えないというべきである。
④問題提起に対する「解答」になっているか?
「問題提起→規範定立→あてはめ」で終わってはいけません。「問題提起に対する結論」を必ず明示するようにしましょう。
▽問題提起に対する回答を明示▽
よって、占有改定は、「占有を始めた」に該当しないというべきである。
論文の構成要素例のまとめ
論文の構成要素のそれぞれの例を、こちらにまとめます。
①問題提起
甲は、乙より自転車を占有改定を受けているが、占有改定は「占有を始めた」(民法192条)に該当するかが問題となる。
②規範定立
即時取得制度は、占有という動産に関する権利の外形を信頼し、所有者の支払領域を離れて流通するに至った動産に対して、支配を確立した者を保護する制度である。したがって、「占有を始めた」とは、一般外観上従来の占有状態に変更を生ずるがごと占有を取得するいうと解するのが相当である。
③事案へのあてはめ
占有改定とは、代理人が事故の占有物を以後本人の為に意思を表示したことによって占有権を取得するものであるが、占有改定による占有の外観に変更が生じるわけではない。したがって、占有改定は、一般外観上従来の占有状態を変更するがごとき占有の取得とは言えないというべきである。
④問題提起に対する回答を明示
よって、占有改定は、「占有を始めた」に該当しないというべきである。
論文の各構成要素への対策
では、先ほどの論文の構成要素に対するそれぞれの対策をまとめていきます!
①「論点抽出の方法」及び「対策」
条文の解釈次第で、結論が変わり得る点は「論点」と考えてよいでしょう。逆に、解釈上争いなく、適用が可能な場合には、わざわざ解釈論を展開する必要はありません。
また、司法試験で出題される論点の多くは、既知の論点です。つまり、事前に準備可能です。そして、既知の論点を学習する際に有益なツールは「論証集」です。
「論証集」を使用し、論点を整理しておきましょう。利用するメリットなど詳しくは以下の記事をご覧ください。
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①「論点抽出の方法」及び「対策」
・結論が変わり得る点は「論点」と考えてよい
→逆に、解釈上争いなく、適用が可能な場合には、わざわざ解釈論を展開する必要はない
・司法試験で出題される論点の多くは、既知の論点で事前に準備可能
→「論証集」を使用して、論点を学んでいこう
②「規範定立の方法」及び「対策」
「規範定立」も非常に重要です。
適切な「規範」を定立しなければ、問題文で与えられた事案へ、上手くあてはめをすることができません。あてはめが上手くできなければ、全体の評価もよくなりません。
ただし、後述の当てはめと異なり、規範定立の部分は、対策をすれば対応することができます。先ほども紹介した、予備校が出版しているような「論証集」を使えば、実際の「規範定立」を確認することができます。
よかった…「規範定立」って自分で整理していく必要はなく、論証集で確認できるんだね!
「規範定立」は丸暗記をしてしまうという受験生が一定数いますが、おすすめできません。理解に伴った記憶を心がけてください。丸暗記の場合、「規範の意味」を理解できていないことが多いです。
②「規範定立の方法」及び「対策」
・「論証集」で実際の「規範定立」を確認しておこう
・「規範定立」は理解しながら勉強しておこう
③「あてはめの方法」及び「対策」
「あてはめ」をするには、基準となる「規範」についてきちんと理解しておく必要があります。
規範について理解するためには、きちんと規範の元となる判例を勉強する必要があります。勉強するべき判例は山ほどあり、相当の労力がかかる点ですが、合格答案を書くためには、規範をきちんと理解することは必須だと考えてください。
そして、この当てはめの対策として、とにかく演習を繰り返し、出来れば、司法試験合格者に添削を受けるようにしましょう。
あてはめのポイントは、自分の言葉で評価することです。事実を摘示するだけでなく、その事実を自分の言葉で評価するようにしましょう。
あてはめの参考例としては、司法試験合格者の再現答案を読んでみましょう。予備校の模範答案でも良いです。優秀とされる答案がどのように自身の言葉で評価をしているのか確認してみましょう。
④「配点を意識したメリハリのある答案を目指す」
司法試験や予備試験の答案では、メリハリのある答案を作成する必要があります。論文答案を採点するのは、司法試験委員会ですが、短期間に多数の答案を採点します。
そのため、一読して理解が伝わるような答案を心がける必要があります。司法試験委員会の嫌いな答案は、論証集の吐き出しです。
当該論点の重要性に関係なく、論証を吐き出し答案が多いですが、司法試験委員会はこれをすごく嫌っています。
理解を示すためにも、当該事案における各論点の重要性に応じて、分量を書き分けるようにしましょう。
分量を書き分ける技術は、非常に高度であり、始めからできる必要はありませんが、後々、このような分量にも気を付ける必要があることを理解しておきましょう。
「論文対策」には「演習書」がマスト
「論文対策」には「演習書」が必須です。「演習書」を使った司法試験予備試験の論文対策の手順は以下のとおりです。
演習書は、一回解いたら終わりではないぞ!
事例と解法パターンをセットで覚えるくらいまで繰り返す必要があるぞ!
▽「演習書」を使った論文対策の手順▽
① ベースとなる演習書を決める
② 演習書は、「記憶の対象」
③ 何度も繰り返し演習し、問題文を読めば、答案構成が思い浮かぶように なるまで演習する。
④ 解説を見ないで、口頭で答案構成をしてみる。
⑤ 最終的には、1問15分程度で見直せるレベルまで追い込む
①ベースとなる演習書を決める
まずは、問題演習のメイン教材を決めましょう。
ベースの演習書は、以下の特徴を有する演習書にしましょう。
▽ベース問題集の選び方▽
・論点の網羅性の高い
・解説が充実している
・余白に書き込みができる
・参考文献も記載されていること
・難しすぎないこと
・1科目40問以上の事例が掲載されていること
ベース演習書が一冊に絞れない場合には、2冊用意をしてもよいかと思います。
しかし、手を広げると挫折の原因ともなりますので、できるだけ1冊決めてそれをやりきるというスタンスが良いかと思います。
あひるっぺ
法書ログの口コミを参考にして選ぶのもおすすめですよ
②演習書は「記憶の対象」
演習書は、初見の場合は、実力試しになりますが、最終的な記憶の対象となります。こういう事案の類型では、こういう論点が問題となり、あてはめではここがポイントとなる等、事案と問題の解法をセットで記憶するようにしましょう。
③答案構成が思い浮かぶようになるまで演習する。
ベースの演習書は、一回解いたら終わりではありません。何度も繰り返し演習し、問題文を読めば、答案構成が思い浮かぶようになる状態まで演習をしましょう。
④解説を見ないで、口頭で答案構成をしてみる。
③の段階を減れば、事例を見て、口頭で答案構成をする等し、1問の復習に費やす時間を短くしていきましょう。口頭で答案構成をしてみて、詰まったところがあれば、解説を確認し、なぜ、分からなかったのか分析するようにしてみましょう。
⑤最終的に、1問15分程度で見直せるレベルまで追い込む
最終的には、1問15分程度(ベースとなる演習書によりますので、目安です。)で見直せるレベルまで追い込みましょう。ここまで、追い込める受験生は非常に限られているかと思います。
「演習書選び」は慎重に
ベース演習書を選ぶ際は慎重になりましょう。最終的に記憶の対象として、繰り返し演習を行うことにもあります。司法試験受験生向けの演習書は、玉石混交ですので、事前にレビューを確認する等して、慎重に選ぶようにしましょう。
当サイトでは、法律書籍のクチコミを掲載しておりますので、合わせてご確認ください。なお、無料会員登録をして頂ければ、どなたでも、クチコミの全文を閲覧することができます。是非、ご活用ください。
また、司法試験予備校の講座にも関心がある方には、アガルートアカデミー
の「重要問題習得講座」がおすすめです。以下の記事で、「重要問題習得講座」の詳細を解説しているから参考してみてください。
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