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(挨拶おわり)
この記事では、優良運転免許証不交付事件(最判平成21年2月27日)について、初学者の方でも分かりやすいように、丁寧に解説していきます。
まず初めに本判決を理解するための3つのポイントと簡単な結論を以下に示しておきます。
1本判決はどのような事案か
Xは運転免許証の更新の際、道路交通法所定の違反行為があったとして優良運転者ではなく一般運転者として扱われ、優良運転者である旨の記載のない免許証を交付されて更新処分を受けました。
Xは違反行為を認めておらず、自己は優良運転者にあたると考えていました。
そこで本件更新処分中のXを一般運転者とする部分の取消訴訟等を提起しました。
2本判決の論点
本判決の論点はXに訴えの利益が認められるかということです。
3本判決の判断
本判決はXの訴えの利益をみとめました。その理由は、「優良運転者である旨の記載のある免許証を交付して行う更新処分を受ける法的地位」を回復するため本件処分を取り消すべき実益があるとされたからです。
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Xは運転免許証の更新の際、道路交通法所定の違反行為があったとして優良運転者ではなく一般運転者として扱われ、優良運転者である旨の記載のない免許証を交付されて更新処分を受けました。
Xは違反行為を認めておらず、自己は優良運転者にあたると考えていました。
そこで本件更新処分中のXを一般運転者とする部分の取消訴訟等を提起しました。
さて、本件では運転免許証の制度を理解することが非常に大切です。そこで以下運転免許証の優良運転者や一般運転者とはなんなのか、そしてその差異を解説していきたいと思います。
まず、自動車を運転するには免許が必要です。免許には有効期間があるので、その期間後も引き続き自動車の運転をしようと思ったら免許の更新が必要です。
さて、道路交通法92条の2第1項は免許の交付や更新を受けた人達を以下の3段階に区別します。
※わかりやすくするために定義を簡略化しており、正確な定義ではありません。
では、それぞれどのように扱いの差があるのでしょうか。
本件では優良運転者or一般運転者の区別が問題となったのでその二つに絞ってみてみましょう。
優良運転者の方が更新手続きの際に優遇されていることが分かりますね(申請書の提出先や、講習の時間、手数料)。
本判決の論点はXらに訴えの利益が認められるかという点です。
訴えの利益とは要するに(取消訴訟においては)その処分を取り消すべき実益、必要性のことを言います。
「実益、必要性などと言われても抽象的でよくわからん」という人は多いと思います。そういう方はまずは免停の例を考えていただくといいでしょう。
2025年8月に1年間の運転免許停止処分をされました。
2026年8月で免停の期間が終わりました。
2027年8月に免停処分の取り消し訴訟を提起しました。
こういう場合に取消訴訟には意味はありませんよね。(実益、必要性がない)
なぜなら、わざわざ取り消さずともすでに免停の法的効果は期間経過で消滅しているからです。
このように実益、必要性とはそして処分が取消によって除去すべき法的効果を有するか、処分を取り消すことによって回復される権利利益が存在するかという観点から判断されます。
なお個人的な感想ですが、訴えの利益と言う概念は抽象的にうんうん考えるよりも、訴えの利益が問題となった判例をいくつか見てみて「こういう事案で問題となるのね」という相場観をつける方が理解しやすいと思います。
過去の記事で長沼ナイキ事件や建築確認と訴えの利益に関する判例に関する記事がありますので是非そちらもご参照ください。
なぜ本件で原告の訴えの実益が問題となるのでしょうか。
簡単に言うと「一般運転者として免許更新されているんだから、別によくない?」という話です。
本件で原告は「免許更新してください」という申請に対して、「免許更新しますよ」という処分を受けています。何はともあれ、原告は適法に運転できるという法的地位を獲得しているわけです。すると本件処分は原告の望んだとおりの処分であり、原告には不利益は生じていないとも考えられるわけです。本件処分を取り消す実益はないとも思えます。
しかし原告としては「一般運転者としての免許ではなく、優良運転者としての免許が欲しいのだ」という気持ちです。
このような角度から訴えの利益が問題となりました。
両者の言い分(気持ち)はわかったと思うので少し法的に整理してみましょう。
上述のように訴えの利益の問題は処分が取消によって除去すべき法的効果を有するか、処分を取り消すことによって回復される権利利益が存在するかという観点から判断します。法的にどのような効果、不利益を被っているのか?が重要です
この観点からすると一方では「優良運転者であろうと一般運転者であろうと原告には適法に自動車の運転をすることができるという法的地位が与えられる。なので一般運転者としての免許更新処分でも原告に法的な不利益は生じず、原告に処分を取り消す実益はない」との考えがあり得ます。
他方では「優良運転者か一般運転者かの違いは重要なものであり優良運転者としての免許を望む人に一般運転者としての免許を与えることは法的な不利益である。よって、優良運転者として扱われるべき法的地位を回復するため訴えを取消すべき実益がある」との考えもあり得ます。
さて、では最高裁はどう判断したのでしょうか。
最高裁は後者の判断をしました。では早速判断の中身を見ていきましょう。
まず、最高裁は前者の立場(免許更新されて運転できるんだからよくない?)にも触れています。
「免許証の更新処分は,申請を認容して上記のような利益(=適法に自動車等の運転をすることのできる地位をその名あて人に継続して保有させる効果)を名あて人に付与する処分であるから,当該名あて人においてその取消しを求める利益を直ちに肯定することはできない。」 ()の斜体部分はは筆者による。
しかし結局最高裁は後者の立場をとります。つまり優良運転者or一般運転者の違いを重視し、訴えの利益を肯定したわけです。
最高裁は以下のような論証で訴えの利益を肯定しました。
①原告に法的地位があり→②原告の訴えにはその地位を回復するという法的な実益がある、という構造の論証です
① 法的地位について
「同法は,客観的に優良運転者の要件を満たす者に対しては優良運転者である旨の記載のある免許証を交付して更新処分を行うということを,単なる事実上の措置にとどめず,その者の法律上の地位として保障する」。
優良運転者は(一般運転者ではなく)優良運転者としての免許証で免許更新されるべき法的利益が存在するということです。優良運転者と一般運転者の違いを重視する見解ですね。
その理由を最高裁は以下のように挙げています。
①-1 「道路交通法は,優良運転者の実績を賞揚し,優良な運転へと免許証保有者を誘導して交通事故の防止を図る目的で,優良運転者であることを免許証に記載して公に明らかにする」こととしていたこと。
①-2 「優良運転者に対し更新手続上の優遇措置を講じている」こと。
これは1で優遇措置を確認した通りです。
①-3 道路交通法の沿革
試験との関係では(特に初学者の皆さんにとって)重要性が低いと思うので割愛します。
② 法的実益について
そしてそのような地位を回復するという法的な実益を認めました。
そのような法的地位が保障されている以上「一般運転者として扱われ上記記載のない免許証を交付されて免許証の更新処分を受けた者は,上記の法律上の地位を否定されたことを理由として,これを回復するため,同更新処分の取消しを求める訴えの利益を有する」
今回の記事もお読みくださりありがとうございました。
参考文献
行政判例百選II〔第8版〕 別冊ジュリスト 第261号.
櫻井敬子,橋本博之(2019)『行政法[第6版]』弘文堂.
下山憲治,友岡史仁,筑紫圭一(2017)『行政法』日本評論社.
海道俊明,須田守,巽智彦,土井翼,西上治,堀澤明生(2023)『精読行政法判例』弘文堂
橋本博之(2023)『行政判例ノート <第5版>』弘文堂
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法律記事を書いております犬橋です。現在は国立大学法科大学院に在籍しながら、行政法の判例の解説記事を主に執筆しています。
初学者の方にもわかりやすく、興味を持ってもらえるような記事を書くことを目指しています。