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司法試験刑法で頻出のテーマのひとつに「間接正犯の成否」があります。
特に、刑事未成年者や第三者を道具のように利用した犯罪において、「正犯」としての処罰が可能かどうかは、刑法総論の核心的論点です。
本記事で取り上げる最高裁昭和58年9月21日決定は、12歳の養女に対して日常的な暴力や威圧的態度を繰り返していた被告人が、養女を利用して窃盗を実行させたという事案です。
この判例では、たとえ実行行為者(養女)が是非弁別能力を有していたとしても、加害者による強制と意思の抑圧があった場合には、実行行為者を「道具」として利用したものと評価でき、間接正犯が成立すると判示されました。
この記事では、間接正犯の理論的枠組みを整理しつつ、本判例がどのような基準で「道具としての利用」を認定したのか、また司法試験においてどのように答案に盛り込むべきかについて解説していきます。
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間接正犯の成否が問題となった事案として、最高裁判所第一小法廷昭和58年9月21日決定(以下「本判例」と言います。)があります。
本件被告人には、当時12歳の養女がいました。
被告人は、日頃から、この養女が被告人の言動に逆らう素振りを見せると、タバコの火を顔に押し付けたり、ドライバーで顔をこすったりするなどして、自己の意のままに従わせていたました。
このような状況下において、被告人は、養女と旅行中、宿泊費などに窮したため、日頃の被告人の言動に畏怖している養女に命じて現金などを窃取させました。
この事案について、原審は、被告人に間接正犯として窃盗罪の成立を認めました。この原審に対して、弁護側・被告人が上告したのが、本判例です。
本判例で問題となった争点は、実際に実行行為を行っていない被告人を正犯として処罰できるのかという点、つまり、間接正犯の成否が争点となっています。
正犯とは、犯罪の実行行為を行う者のことを言います。
この実行行為を自らの手で行った者のことを直接正犯と言います。実行行為を自らの手で行うことを自手実行と言うことがあります。
これに対し、間接正犯とは、自らは直接手を下さずに、他人を利用して犯罪を実現し、共犯としてではなく正犯として処罰される者のことを言います。他人を利用して実行行為を行わせることを他手実行と言うことがあります。
正犯とは、本来、自ら実行行為(自手実行)をした者です。しかし、間接正犯の場合は、自らは実行行為を行っていません。
したがって、自ら実行行為を行っていない者を正犯として扱うには、他人を利用する行為が、自手実行の場合と同様に、結果発生の現実的な危険性を生じさせるものである場合でなければなりません。
では、どのような場合に、他人を利用する行為が結果発生の現実的な危険性を生じさせるものであるのかと言うと、それは、他人の行為を「自己の犯罪実現のための道具として利用した」場合です。
例えば、ナイフを使って人を殺傷する場合のように、道具を使って犯罪を実現することがあります。間接正犯もそれと同じです。人間を一方的に道具のように利用して犯罪を実現するのが、間接正犯です。
したがって、間接正犯が認められるかどうかは、他人の行為を「自己の犯罪実現のための道具として利用した」と言えるかどうかが判断基準となります。
本判例以外の判例でも、他人の行為を「自己の犯罪実現のための道具として利用した」場合に、間接正犯の成立を認めたものがあります(最高裁判所第一小法廷平成9年10月30日決定)。
14歳未満の者は、刑事未成年者となり、刑罰を科されません(刑法41条)。
(責任年齢)
第四十一条 十四歳に満たない者の行為は、罰しない。
この刑事未成年者の行為を自己の犯罪実現のための道具として利用した場合も、間接正犯は成立します。
もっとも、刑事未成年者の行為を道具として利用した場合、常に間接正犯となるわけではありません。
刑事未成年者が是非弁別能力を備えている場合には、その行為を利用したとしても、間接正犯は成立しないことがあります。
是非弁別能力とは、物事の善し悪しを判別する能力のことです。
利用された者が是非弁別能力を備えていない場合、犯罪を悪いことであると判別できないため、これを思いとどまることができません。
そのため、是非弁別能力を備えていないものの行為を利用することは、道具として利用したものと評価できます。
他方、是非弁別能力を備えている場合には、自ら犯罪を思いとどまることが可能です。それにもかかわらず実行行為を行っているということは、その者が自らの意思で犯罪の実行行為を行っているということです。
したがって、刑事未成年者であっても、是非弁別能力を備えている者の行為を利用することは、道具として利用しているとは言えず、間接正犯は成立しないのです。
ただし、利用者に間接正犯は成立しませんが、共犯(教唆犯、幇助犯または共同正犯)が成立することはあります。
本判例以外の判例には、被告人が犯行当時12歳の長男に命じて強盗を実行させた事案において、長男が是非弁別能力を有しており、意思を抑圧されておらず、自分の意思で犯行を決意し、臨機応変に対処して犯行を行ったことから、長男は被告人の道具とは言えないので、間接正犯は成立せず、共同正犯が成立するとしたものがあります(最高裁判所第一小法廷平成13年10月25日)。
かつては、共犯が成立するには、正犯に構成要件該当性、違法性、責任のすべてが備わっていなければならないとする説(極端従属性説)がありました。
極端従属性説によると、直接の行為者に故意や責任能力がない場合、共犯が成立せず、背後者を処罰できないことから、その間隙を埋めるために、間接正犯の概念が取り入れられたと言われています。
この考え方によると、刑事責任能力のない刑事未成年者の行為を利用する場合は、その刑事未成年者に是非弁別能力があるときでも、処罰の間隙を埋めるために、間接正犯が成立することになります。
しかし、現在では、極端従属性説はとられておらず、共犯成立には構成要件該当性と違法性があればよく、責任まで具備していることは必要とされないとする制限従属性説が通説的見解となっています。
制限従属性説によると、刑事未成年者に是非弁別能力がある場合には、共犯が成立するので、処罰の間隙を埋める必要性はありません。
現在では、間接正犯の理論は処罰の間隙を埋めるためのものではなく、それが正犯として処罰するに値するものであるからこそ必要な理論であると意義づけられるようになっています。
また、そもそも間接正犯は、正犯です。したがって、共犯の成立を検討する前に、まず間接正犯の成否を検討し、その成立が否定される場合に共犯の成否を検討する必要があります。
刑事未成年者を利用する行為が問題となる場合も、まずは間接正犯の成否を検討し、それが否定される場合に、共犯の成否を検討することになります。
前記のとおり、刑事未成年者に是非弁別能力がある場合には、道具として利用しているとは言えず、間接正犯は成立しないのが原則です。
もっとも、刑事未成年者が行為を強制されている場合には、間接正犯が成立することがあります。
ただし、行為を強制されているからと言って、必ずしも、刑事未成年者が自己の是非弁別能力に従って犯罪を思いとどまることができなくなるとは限りません。
したがって、是非弁別能力のある刑事未成年者の行為を強制したことにより、他の行為を選択できない程度に意思を抑圧されていたと言える場合に、被害者の行為を道具として利用したものとして、間接正犯が成立すると考えるべきでしょう。
本判例は、被告人に窃盗罪の間接正犯の成立を認めた原審の判断を支持し、弁護側・被告人の上告を棄却する決定をしています。
前記のとおり、本件被告人は、12歳の養女の行為を利用しています。しかも、日頃から暴行等を加えて養女を畏怖させ、自己の意のままに従わせていました。
したがって、本件では、間接正犯の成否に関して、刑事未成年者の行為を利用する場合、実行行為を強制する場合の両者が問題となってきます。
これらの点について本判例は、刑事未成年者の行為であることについては正面から触れず、実行行為を強制している場合に該当することを強調して、間接正犯の成立を認めています。
具体的には、以下のとおり判示しています。
「被告人は、当時12歳の養女Aを連れて四国甲等を巡礼中、日頃被告人の言動に逆らう素振りを見せる都度顔面にタバコの火を押しつけたりドライバーで顔をこすったりするなどの暴行を加えて自己の意のままに従わせていた同女に対し、本件各窃盗を命じてこれを行わせたというのであり、これによれば、被告人が、自己の日頃の言動に畏怖し意思を抑圧されている同女を利用して右各窃盗を行つたと認められるのであるから、たとえ所論のように同女が是非善悪の判断能力を有する者であつたとしても、被告人については本件各窃盗の間接正犯が成立すると認めるべきである。」
本判例は、まず、被告人が、日頃から養女が被告人の言動に逆らう素振りを見せる都度、養女の顔にタバコの火を押し付けたりドライバーで顔をこすったりするなどの暴行を加えて「自己の意のままに従わせていた」と認定しています。
そして、そのような被告人の「日頃の言動に畏怖し意思を抑圧されている」養女に窃盗を命じてこれを行わせたと判示しています。
養女は被告人に逆らうことができない状態であり、そのような養女の実行行為は、被告人に強制されたものに等しいと言えます。
したがって、被告人は、自己の犯罪(窃盗)実現のために養女の行為を道具として利用したと評価できます。
そして、養女が「是非善悪の判断能力を有する者であったとしても」間接正犯が成立すると判示しました。
本判例は、刑事未成年者に是非弁別能力が認められる場合でも、実行行為を強制されている場合には、間接正犯が成立することを認めたのです。
刑法判例50!(著:十河太朗ほか、出版:有斐閣)118ページ
刑法判例百選Ⅰ(第7版)150ページ
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