本判決(最高裁平成24年9月7日判決)は、同種前科と被告人の犯人性立証との関係について詳細に述べています。
いわゆる悪性格の立証というテーマで、司法試験や予備試験、ロースクールの定期試験でも、頻出の論点です。判決文が難解な論点ですが、これをきっかけに、得意な論点にしましょう。
目次
はじめに
本判決では、被告人の同種前科に、証拠能力が認められるか問題となりました。
このような切り口で問題提起されるのは、刑事訴訟法317条が定める証拠裁判主義により、公訴事実の立証は、厳格な証明によらなければならないとされているからです。
ここにいう厳格な証明とは、証拠能力のある証拠により適当な証拠調べを経ることを意味します。
そこで、被告人の前科に証拠能力が認められるか問題となるわけです。
証拠が事実認定に一切役立たない場合や、証拠が事実認定に役立つ場合であっても、正確な事実認定を阻害する場合には、そのような証拠を用いるべきではないでしょう。
前者は、自然的関連性の問題で、後者は、法律的関連性の問題です。
自然的関連性を欠くとしてその証拠能力が否定される場合は、真正性を欠く証拠や、およそ事件に何ら関係ない証拠が提出された場合です。
法律的関連性を欠くとしてその証拠能力が否定される場合は、最低限度の証明力はあるものの、その証拠を用いることで、事実認定を誤らせるおそれがある場合です。
このような前提知識を学んだうえで、本題に入っていきましょう。
最高裁平成24年9月7日判決の事案の概要
刑事訴訟法科目では、判旨だけではなく、事案の分析が重要ですが、本判決は、特にどのような事案であったのか把握しておく必要があります。
しっかりと、事案の概要を読み込みましょう。
▼事案の概要▼
被告人は、午前6時30分頃から午前11時50分頃までの間に、金品窃取の目的で被害者方に侵入し、その室内に保管されていた現金1000円とカップ麺1個を窃取した上、室内にあった石油ストーブ内の灯油を、被害者方のカーペットに撒いて放火したとして、住居侵入、窃盗、現住建造物等放火の罪で起訴された。
被告人は、住居侵入と窃盗については争わず、放火については、犯人性を否定する旨の主張をした。
被告人は、過去に15件の窃盗、11件の現住建造物等放火の罪を犯すなどしたとして、懲役8月及び懲役15年の刑に処せられていた。
放火については、いずれもいわゆる侵入盗で、侵入先に満足のいく金品がなく、その鬱憤を解消するために行われたものであった。
検察官は、本件における放火と、11件についての放火については、同様の動機に基づき、特殊な方法で行われたものであると主張し、その証明のため、11件の放火に係る判決書謄や被告人の供述調書謄本などの、取調べを請求した。
第1審は、各書証は本件における放火との関連性を欠くとして証拠調べ請求を却下し、被告人を住居侵入と窃盗についてのみ有罪とした。
控訴審は、各書証の取調べ請求を却下した第1審の措置には判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反があるとして、第1審判決を破棄し差し戻した。
そこで、被告人が上告した。
最高裁平成24年9月7日判決の判旨
本判決は重要な記載が多いため、少々辛いですがしっかり読み込みましょう。
また、規範部分とあてはめ部分を意識し、裁判所がどのような思考過程を経ているのか考えながら読むといいでしょう。
「前科も一つの事実であり、前科証拠は、一般的には犯罪事実について、様々な面で証拠としての価値(自然的関連性)を有している。反面、前科、特に同種前科については、被告人の犯罪性向といった実証的根拠の乏しい人格評価につながりやすく、そのために事実認定を誤らせるおそれがあり、また、これを回避し、同種前科の証明力を合理的な推論の範囲に限定するため、当事者が前科の内容に立ち入った攻撃防御を行う必要が生じるなど、その取調べに付随して争点が拡散するおそれもある。」
「したがって、前科証拠は、単に証拠としての価値があるかどうか、言い換えれば自然的関連性があるかどうかのみによって証拠能力の有無が決せられるものではなく、前科証拠によって証明しようとする事実について、実証的根拠の乏しい人格評価によって誤った事実認定に至るおそれがないと認められるときに初めて証拠とすることが許されると解するべきである。本件のように、前科証拠を被告人と犯人の同一性の証明に用いる場合についていうならば、前科に係る犯罪事実が顕著な特徴を有し、かつ、それが起訴に係る犯罪事実と相当程度類似することから、それ自体で両者の犯人が同一であることを合理的に推認させるようなものであって、初めて証拠として採用できるものというべきである。」
「原判決は、被告人が本件放火の最大でも5時間20分という時間内に上記の放火現場に侵入し、500円硬貨2枚とカップ麺1個を窃取したことを認めていることからすれば、前科と同様の状況に置かれた被告人が、同様の動機のもとに放火の意思を生じ、上記のと おりの手段、方法で犯行に及んだものと推認することができるので、関連性を認めるに十分であるという。しかしながら、窃盗の目的で住居に侵入し、期待したほどの財物が窃取できなかったために放火に及ぶということが、放火の動機として特に際だった特徴を有するものとはいえないし、また、侵入した居室内に石油ストーブの灯油を撒いて火を放つという態様もさほど特殊なものとはいえず、これらの類似点が持つ、本件放火の犯行が被告人によるものであると推認させる力は、さほど強 いものとは考えられない。」
「上記のとおり、被告人は、…前刑放火の際と類似した状況にあり、また、放火の態様にも類似性はあるが、本件前科証拠を本件放火の犯人が被告人であることの立証に用いることは、帰するところ、前刑放火の事実から被告人に対して放火を行う犯罪性向があるという人格的評価を加え、これをもとに被告人が本件放火に及んだという合理性に乏しい推論をすることに等しく、このような立証は許されないものというほかはない。」
最高裁平成24年9月7日判決の解説
(1)本判決は、まず、前科証拠を被告人の犯人性の立証のために用いる場合のデメリットを述べています。
それは、①事実認定を誤らせるおそれと、②争点拡散のおそれです。
ここにいう①事実認定を誤らせるおそれとは、前科証拠自体に、自然的関連性自体は認められるが、前科証拠を犯人性の立証に用いれば、事実認定を誤らせてしまう危険が相当程度高いため、法律的関連性を欠くのではないかという問題視点です。
それを、本判決は、「実証的根拠の乏しい人格評価につながりやす」いと述べています。
実証的根拠に乏しい人格評価とは、論理的・科学的に根拠の乏しい評価を意味します。
前科証拠から、被告人の犯人性を立証する過程は、被告人には、同種事犯を犯すという悪性格があり(第1段階)、そのような悪性格を持つ被告人が、本件のような同種事犯を行ったに違いない(第2段階)という、それ自体不確かな推認を、2段階も推認するという特徴があります。
ただでさえ不確かな推認を、2段階も推認するという危険性がポイントとなることを押さえておきましょう。
次に、②争点拡散のおそれとは、本来的には争点にならないはずの前科内容が、同種前科を犯人性立証に用いられることで、被告人が前科部分についても攻撃防御する必要ができてしまい、無用な争点を増やし、裁判を不当に遅延化させるという問題視点です。
(2)本判決は、以上の様なデメリットがあることを確認したうえで、実証的根拠の乏しい人格評価によって誤った事実認定に至るおそれがないときは、前科証拠も証拠として採用できることを述べました。
それは、先程述べた、不確かな推認を2段階経る場合でなければ、誤った事実認定をするおそれがなく、同種前科を犯人性立証に用いることが有益だといえるケースを想定しています。
そのような場合を本判決は具体的に述べています。
それは、「前科に係る犯罪事実が顕著な特徴を有し、かつ、それが起訴に係る犯罪事実と相当程度類似することから、それ自体で両者が同一であることを合理的に推認させるような」場合です。
ポイントとしては、前科の顕著な特徴と、犯罪事実との類似性といえるでしょう。
判旨のあてはめ部分を読み解いていただければわかるように、ここにいう前科の顕著な特徴とは、その犯罪類型に往々にして見られる特徴では足りず、その前科自体における顕著な特徴を重要視しているといえます。
ですから、本件でいえば、侵入先に大した金品がなかったため、その腹いせに放火するという態様について、どれほどの特徴があるのかという視点で考える必要があります。
この点は、原審とも見解が分かれており、試験では詳細に検討する必要がある部分と言えるでしょう。
最高裁平成24年9月7日判決の判決文を読んでみよう!
◆本件訴訟の経緯
1 原判決の認定及び記録によれば,本件訴訟の経過等は,次のとおりである。
(1) 本件各公訴事実は,「被告人は,平成21年9月8日午前6時30分頃から同日午前11時50分頃までの間,金品窃取の目的で,東京都葛飾区(以下省略)B荘C号室D方縁側掃き出し窓のガラスを割り,クレセント錠を解錠して侵入した上,同所において,1 同人所有の現金1000円及びカップ麺1個(時価約100円相当)を窃取し,2 同人ほか1名が現に住居に使用する前記B荘(木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建,延べ床面積115.67平方メートル)に放火しようと考え,B荘C号室内にあった石油ストーブ内の灯油を同室内のカーペット上に撒布した上,何らかの方法で点火して火を放ち,同室内の床面等に燃え移らせ,よって,現に人が住居に使用しているB荘C号室の一部を焼損(焼損面積約1.1平方メートル)した。」という住居侵入,窃盗,現住建造物等放火の事実(以下,それぞれ「本件住居侵入」,「本件窃盗」,「本件放火」という。)及び北海道釧路市内における住居侵入及び窃盗の事実(以下「釧路事件」という。)からなるものである。
(2) 被告人は,第1審の公判前整理手続において,本件住居侵入及び本件窃盗並びに釧路事件については争わない旨述べたが,本件放火については,何者かが上記B荘C号室に侵入して放火したことは争わないものの,被告人が行ったものではないと主張した。
(3) 被告人は,平成3年4月7日から平成4年5月10日までの間に15件の窃盗を,同年3月29日から同年6月13日までの間に11件の現住建造物等放火(未遂を含む。以下「前刑放火」という。)を行ったなどの罪により,平成6年4月13日,懲役8月及び懲役15年(前刑放火を全て含む。)に処せられた前科を有する。
検察官は,公判前整理手続において,被告人は窃盗に及んだが欲するような金品が得られなかったことに立腹して放火に及ぶという前刑放火と同様の動機に基づいて本件放火に及んだものであり,かつ,前刑放火と本件放火はいずれも特殊な手段方法でなされたものであると主張し,この事実を証明するため,上記前科に係る判決書謄本(以下「前刑判決書謄本」という。),上記前科の捜査段階で作成された前刑放火に関する被告人の供述調書謄本15通,本件の捜査段階で作成された前刑放火の動機等に関する被告人の供述調書1通(以下これらを併せて「本件前科証拠」という。),本件放火の現場の状況及びその犯行の特殊性等に関する警察官証人1名の取調べを請求した。
第1審裁判所は,前刑判決書謄本を情状の立証に限定して採用したものの,本件放火の事実を立証するための証拠として本件前科証拠は全て「関連性なし」として却下し,また,上記警察官証人を「必要性なし」として却下した。
第1審判決は,被告人が本件放火の犯人であると認定するにはなお合理的な疑問が残るとして,本件住居侵入及び本件窃盗並びに釧路事件についてのみ有罪とした。
(4) これに対し検察官が控訴した。控訴趣意は,本件前科証拠及び上記警察官証人は,いずれも本件放火の犯罪を立証する証拠として関連性を有し,取調べの必要性があったにもかかわらず,これらを却下した第1審裁判所の措置は訴訟手続の法令違反に該当し,その結果被告人を本件放火の犯人と認定しなかったのは事実誤認に当たるというものである。
原判決は,本件前科証拠のうち,前刑判決書謄本の取調べ請求を却下した第1審裁判所の措置,並びに上記前科の捜査段階で作成された被告人の供述調書謄本15通及び本件捜査段階で作成された前刑放火の動機等に関する被告人の供述調書1通について,本件放火との関連性がある部分を特定しないまま,その全てを却下した第1審裁判所の措置には,判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反があるとして,第1審判決を破棄し,事件を東京地方裁判所に差し戻した。
◆原判決の理由の概略
「2 原判決の理由の概略は,次のとおりである。
前刑放火11件の動機は,いずれも窃盗を試みて欲するような金品が得られなかったことに対する腹立ちを解消することにあり,上記11件のうち10件は,いずれも侵入した居室内において,また残り1件は,侵入しようとした住居に向けて放火したものであり,うち7件は,犯行現場付近にあったストーブ内の灯油を撒布したものである。被告人には,このような放火に至る契機,手段,方法において上記のような特徴的な行動傾向が固着化していたものと認められる。被告人は,本件放火と接着した時間帯に放火場所である居室に侵入して窃盗を行ったことを認めているところ,その窃取した金品が被告人を満足させるものではなかったと思料され,前刑放火と同様の犯行に至る契機があると認められる上,犯行の手段方法も共通しており,いずれも特徴的な類似性があると認められ,被告人が本件放火の犯人であることを証明する証拠として関連性がある。したがって,本件前科証拠のうち,これらの点に関するもの,すなわち前刑判決書謄本並びに上記前科の捜査段階で作成された被告人の供述調書謄本15通及び本件の捜査段階で作成された前刑放火の動機等に関する被告人の供述調書1通のうち本件放火と特徴的な類似性のある犯行に至る契機,犯行の手段方法に関する部分はいずれも関連性が認められ,証拠として採用すべきであったものというべきであり,上記各供述調書について関連性が認められる部分を特定できるような審理を行わずに本件前科証拠を全て却下した第1審裁判所の措置は違法である。そして,被告人が,本件放火と接着した時間帯に放火場所である居室に侵入して窃盗を行ったことが認められる本件では,上記の違法は判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反に当たる。」
◆最高裁の理由
「3 しかしながら,原判決の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
(1) 前科も一つの事実であり,前科証拠は,一般的には犯罪事実について,様々な面で証拠としての価値(自然的関連性)を有している。反面,前科,特に同種前科については,被告人の犯罪性向といった実証的根拠の乏しい人格評価につながりやすく,そのために事実認定を誤らせるおそれがあり,また,これを回避し,同種前科の証明力を合理的な推論の範囲に限定するため,当事者が前科の内容に立ち入った攻撃防御を行う必要が生じるなど,その取調べに付随して争点が拡散するおそれもある。したがって,
前科証拠は,単に証拠としての価値があるかどうか,言い換えれば自然的関連性があるかどうかのみによって証拠能力の有無が決せられるものではなく,前科証拠によって証明しようとする事実について,実証的根拠の乏しい人格評価によって誤った事実認定に至るおそれがないと認められるときに初めて証拠とすることが許されると解するべきである。本件のように,前科証拠を被告人と犯人の同一性の証明に用いる場合についていうならば,前科に係る犯罪事実が顕著な特徴を有し,かつ,それが起訴に係る犯罪事実と相当程度類似することから,それ自体で両者の犯人が同一であることを合理的に推認させるようなものであって,初めて証拠として採用できるものというべきである。
前刑放火は,原判決の指摘するとおり,11件全てが窃盗を試みて欲するような金品が得られなかったことに対する鬱憤を解消するためになされたものであること,うち10件は侵入した室内において,残り1件は侵入しようとした居室に向けてなされたものであるが,いずれも灯油を撒布して行われたものであることなどが認められる。本件放火の態様は,室内で石油ストーブの灯油をカーペットに撒布して火を放ったという犯行である。原判決は,これらの事実に加え,被告人が本件放火の最大でも5時間20分という時間内に上記の放火現場に侵入し,500円硬貨2枚とカップ麺1個を窃取したことを認めていることからすれば,上記の各前科と同様の状況に置かれた被告人が,同様の動機のもとに放火の意思を生じ,上記のとおりの手段,方法で犯行に及んだものと推認することができるので,関連性を認めるに十分であるという。しかしながら,窃盗の目的で住居に侵入し,期待したほどの財物が窃取できなかったために放火に及ぶということが,放火の動機として特に際だった特徴を有するものとはいえないし,また,侵入した居室内に石油ストーブの灯油を撒いて火を放つという態様もさほど特殊なものとはいえず,これらの類似点が持つ,本件放火の犯行が被告人によるものであると推認させる力は,さほど強いものとは考えられない。
原判決は,上記のとおり,窃盗から放火の犯行に至る契機の点及び放火の態様の点について,前刑放火における行動傾向が固着化していると判示している。固着化しているという認定がいかなる事態を指しているのか必ずしも明らかではないが,単に前刑放火と本件放火との間に強い類似性があるというにとどまらず,他に選択の余地がないほどに強固に習慣化していること,あるいは被告人の性格の中に根付いていることを指したものではないかと解され,その結果前刑放火と本件放火がともに被告人によるものと推認できると述べるもののようである。しかし,単に反復累行しているという事実をもってそのように認定することができないことは明らかであり,以下に述べる事実に照らしても,被告人がこのような強固な犯罪傾向を有していると認めることはできず,実証的根拠の乏しい人格評価による認定というほかない。
すなわち,前刑放火は,間に服役期間を挟み,いずれも本件放火の17年前の犯行であって,被告人がその間前刑当時と同様の犯罪傾向を有していたと推認することには疑問があるといわなければならない。加えて,被告人は,本件放火の前後の約1か月間に合計31件の窃盗(未遂を含む。以下同じ。)に及んだ旨上申している。上申の内容はいずれも具体的であるが,これらの窃盗については,公訴も提起されていない上,その中には被告人が十分な金品を得ていないとみられるものが多数あるにもかかわらず,これらの窃盗と接着した時間,場所で放火があったという事実はうかがわれず,本件についてのみ被告人の放火の犯罪傾向が発現したと解することは困難である。
(2) 上記のとおり,
被告人は,本件放火に近接した時点に,その現場で窃盗に及び,十分な金品を得るに至らなかったという点において,前刑放火の際と類似した状況にあり,また,放火の態様にも類似性はあるが,本件前科証拠を本件放火の犯人が被告人であることの立証に用いることは,帰するところ,前刑放火の事実から被告人に対して放火を行う犯罪性向があるという人格的評価を加え,これをもとに被告人が本件放火に及んだという合理性に乏しい推論をすることに等しく,このような立証は許されないものというほかはない。
したがって,本件放火の犯罪事実を立証するための本件前科証拠の取調べ請求を全て却下した第1審裁判所の措置は正当であり,これについて判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反に当たるとした原判断には刑訴法379条の解釈適用を誤った違法がある。この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであり,原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。」
おわりに
本稿では、同種前科の犯人性立証が問題となった最高裁平成24年9月7日判決の解説をしてきました。
本判決は、難解な部分もありますが、判決がどのような論理構成で、どのような点に着目しているのかを気を付ければ、比較的理解しやすい判決です。
規範とあてはめ部分を意識して、何度も読み込みましょう。
本稿が、皆様の勉強の一助になれば幸いです。
【参考文献】
「刑事訴訟法」第3版 酒巻匡(2024、有斐閣)
「刑事訴訟法」第3版 宇藤ほか(2024、有斐閣)