近年、私たちの周りで“リーガルマインド”という言葉を耳にする機会が増えています。
テレビのニュースやビジネスの現場、さらには教育の場でも、この言葉が頻繁に使われるようになりました。しかし、その意味や重要性を正しく理解している人はまだ多くないかもしれません。
では、リーガルマインドとはどのような考え方を指すのでしょうか?そして、それが私たちの生活や仕事にどのような影響を与えるのでしょうか?この記事では、リーガルマインドの基本的な概念、その意義、そして実際の活用方法について詳しく解説していきます。
目次
そもそも法学とは?
リーガルマインドを理解するには、まず法律の学問である「法学」がどのような学問なのかを知る必要があります。
「3大プロフェッション(職業)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
この言葉は、「医師」「宗教家」「法律家」という3つの職業を指し、古今東西を問わず普遍的に高く評価されてきた職業です。その理由は、これらの職業が人間の生活に不可欠であるからです。
医師は人の身体を救い、宗教家は人の心を救います。では、法律家は何を救うのでしょうか?
法律家は、「人と人との関係」、つまり人間関係を救うと説明されることがあります。法律家は、人々の間で起こるトラブルを法に基づいて解決し、平和な関係を築く役割を担っています。
そして、法律家が持つ専門的なスキルが「リーガルマインド」と呼ばれるものです。
リーガルマインドとは?
法は「法的要件」と「法的効果」から成り立っています。
ある条件(法的要件)を満たすと、その結果として権利や義務が発生する(法的効果)という仕組みです。
法学は、どのような条件が整ったときにどのような効果が生じるのかを専門的に学ぶ学問です。
では、法律家が持つリーガルマインドとは何でしょうか?
法律家は、
- 事実を見極め、
- その事実に適用すべき法律を判断、適用し、
- 事実を法的効果、つまり権利と義務の関係に置き換えて紛争を解決します。
このプロセスを支える思考と技術こそがリーガルマインドです。
リーガルマインドの活用
リーガルマインドとは、
- 事実を正確に見極める能力
- 適切な法律を適用する判断力
- 問題を権利と義務の関係に置き換える技術
といったスキルの総称です。(法スタでは、「リーガルマインド」をこのように考えます)
もっと端的に、誤解を恐れずにいうと「リーガルマインドとは、この世界を権利と義務に置き換える技術」といえるでしょう!
このスキルは法律の分野にとどまらず、あらゆる場面で役立ちます。社会の問題の多くは人間関係が原因となっていますが、リーガルマインドを活用することで、これらの問題を冷静かつ論理的に解決することが可能になります。
リーガルマインドを身につけることは、単に法律の専門家を目指す人だけでなく、現代社会で生きるすべての人にとって大きな価値があります。そして、リーガルマインドを身に付けることで、誰もが「法律的な視点を持つ人」として活躍することが可能になります。
現代社会では、リーガルマインドを備えた人はまだまだ少数派です。
そのため、このスキルは非常に貴重であり、差別化のポイントとなります。法曹という職業に就かなくても、他の専門分野とリーガルマインドを組み合わせることで、「リーガルマインド+○○」という形で、社会に独自の価値を提供することができるでしょう。
リーガルマインドを養うためには
リーガルマインドの基礎を学ぶには、まず日本の法律体系を理解することが重要です。法律体系を理解しなければ、具体的な場面において、いかなる法律が適用されるのかを判断することはできません。
憲法、民法、刑法などの基本法を学ぶことで、法律の全体像を把握できます。また、具体的な事例を通じて法律を適用する練習をすることで、実践的なスキルを身につけることができます。
さらに、リーガルマインドを養うためには、単に法律の条文を暗記するだけでは不十分です。法律の背後にある理念や目的を理解し、それを実際の問題に適用する力を鍛える必要があります。このためには、判例や法律学の文献を活用し、事例研究を重ねることが効果的です。
法スタでは、法学の学び方や判例論点の理解の仕方について紹介しています。これから法律を学ぼうとしている方や、リーガルマインドを実生活で活かしたい方は、ぜひ法スタの記事を参考にしてください。
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