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小売市場事件(最大判昭47.11.22)をどこよりも分かりやすく解説

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かもっち・あひるっぺからの挨拶

かもっち

はじめまして、かもっち@hosyocomです。
皆さん、法律の勉強、お疲れ様です!!

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あひるっぺ

私は、司法試験受験生のあひるっぺ

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この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです!

(挨拶おわり)


努力を、ちゃんと“合格”に変えませんか?

あひるっぺ

ねえ、もっち…。
記事を読む前に、ひとつだけ聞いてほしいんだけど。

私さ、
「ちゃんと勉強してるつもり」なのに、全然点に繋がらなくて
何が悪いのかも分からないまま、時間だけが過ぎていくんだよね…。

かもっち

──それ、正直しんどいよね。
でもね、結論から言うと。
それは努力不足じゃないことがほとんどなんだ。

「落ちる勉強法」のまま、全力で走ってしまっている可能性があるんだ。

あひるっぺ

「落ちる勉強法?」
そんなにハッキリ言わなくても…って思うよね。

かもっち

でも、ここは誤魔化しちゃいけない。
司法試験は、
努力の量よりも「努力の向き」で合否が決まる試験だから。

実際、不合格から合格を勝ち取った人たちは、
・自分がなぜ落ちたのか
・どこでズレていたのか
・何を捨て、何に集中すべきか

──それを徹底的に分析して、勉強法を組み替えた人たちなんだ。
その「逆転のプロセス」を、丸ごと体系化したのが複数回受験生が辿りついた落ちない司法試験勉強法

あひるっぺ

何それ?気になる

かもっち

ただの精神論じゃない。
✔ 司法試験不合格の“本質的な原因”
✔ 合格者が実際にやった「具体的な修正ポイント」
✔ 評価される答案と、落ち続ける答案の決定的な違い
を解説している。

もし今、
「こんなにやってるのに、なぜ…」
と感じているなら。
それはあなたがダメなんじゃない。
やり方を変えるタイミングが来ているだけ。

先人の失敗と成功を最短ルートで吸収して、
もう遠回りは終わりにしよう。
努力を、ちゃんと“合格”に変えませんか?

小売市場事件(最大判昭47.11.22)は、公共の福祉を理由とする営業活動の制限が憲法22条に違反しないのかが問題となった事件です。

最高裁は、小売市場の開設制限を設けている小売商業調整特別措置法について、合憲とする判決を下しました。

目次

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営業の自由は憲法のどの規定から導かれるか?

実は、営業の自由については、憲法に明文規定がありません。

そこで、営業の自由の憲法上の根拠は何なのかという学説上の争いがあります。

主な学説は憲法22条説と憲法29条説、公序説が挙げられます。

憲法22条説

営業の自由は、憲法22条説の職業選択の自由に含まれるとする説です。

憲法
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

憲法29条説

営業の自由を、「営業することの自由」と「営業活動の自由」の2つに分類し、前者については憲法22条で保障され、後者については憲法29条の財産権の一環として保障されると解する説です。

憲法
第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
② 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

公序説

上記2つの説が、営業の自由を人権保障規定として捉えているのに対して、公序説は営業の自由は人権ではなく、公序により追求されるとする説です。

公共の福祉を理由に営業の自由を制約することは認められるのか?

営業の自由が憲法22条や憲法29条から導かれるとすると、いずれの条文を根拠にするにしても、公共の福祉による制約を受ける可能性があります。

小売市場事件以前にも、公共の福祉を理由に営業の自由を制約することの是非が争われた事件がありました。

例えば次のような事件です。

  • 古物商の許可制(最大判昭和28年3月18日)
  • 公衆浴場の適正配置規制(最大判昭和30年1月26日)
  • 歯科技工士による印象採得、咬合採得、試適、嵌入の禁止(最大判昭和34年7月8日)
  • あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師による医業類似行為の禁止処罰規定(最大判昭和35年1月27日)
  • 売春防止法(最判昭和36年7月14日)
  • タクシー事業の免許制(最大判昭和38年12月4日)

これらの事件はいずれも、消極的規制の事例で公共の福祉を理由とする制約が容認されやすい事例でした。

小売市場事件は、公企業的性格がない一般的な小売市場について、公共の福祉を理由に制約することの妥当性が問われた事件として注目されました。

小売市場事件の概要

小売商業調整特別措置法3条には、政令で指定する市(特別区を含む)では、都道府県知事の許可を受けた者でなければ、小売市場の開設ができないと定められています。

大阪府はこれを受けて、小売市場許可基準内規を作成し、過当競争防止のために、既存の小売市場から700m未満の地域では、新規に小売市場を開設することができないとする距離制限を設けました。

ところがXらは、この規制に反して小売市場を開設したことから、小売商業調整特別措置法の罰則規定に基づいて、起訴されました。

小売商業調整特別措置法
(小売市場の許可)
第三条 政令で指定する市(特別区を含む。以下同じ。)の区域(以下「指定地域」という。)内の建物については、都道府県知事の許可を受けた者でなければ、小売市場(一の建物であつて、その建物内の店舗面積(小売業を営むための店舗の用に供される床面積をいう。以下同じ。)の大部分が五十平方メートル未満の店舗面積に区分され、かつ、十以上の小売商(その全部又は一部が政令で定める物品を販売する場合に限る。)の店舗の用に供されるものをいう。以下同じ。)とするため、その建物の全部又は一部をその店舗の用に供する小売商に貸し付け、又は譲り渡してはならない。
(罰則)
第二十二条 次の各号の一に該当する者は、三百万円以下の罰金に処する。
一 第三条第一項の規定に違反した者

第一審と控訴審はいずれもXらに対して、罰金刑に処する旨の判決を下しました。

これに対して、Xらは、同法による許可規制と距離制限が、自由競争を基調とする日本の経済体制に背反し、既存業者の独占的利潤追求に奉仕するものであり、憲法22条1項に違反するとして上告しました。

小売市場事件の最高裁の考え方

最高裁は、Xらの上告を棄却しました。

どのように考えてこの結論に至ったのか確認しましょう。

営業の自由の根拠規定

営業の自由の根拠規定について、最高裁は次のように述べて、憲法22条説を採用することを明確にしました。

憲法22条1項は、国民の基本的人権の一つとして、職業選択の自由を保障しており、そこで職業選択の自由を保障するというなかには、広く一般に、いわゆる営業の自由を保障する趣旨を包含しているものと解すべきであり、ひいては、憲法が、個人の自由な経済活動を基調とする経済体制を一応予定しているものということができる。

そして、憲法22条1項には、「公共の福祉に反しない限り」と明記されているとおり、営業の自由も公共の福祉による制約を受けることがある旨も明確にしました。

二重の基準の理論

人権について公共の福祉による制約を行う場合は、具体的な基準が必要です。

これを明らかにする理論としては、主に比較衡量論と二重の基準の理論が知られています。

二重の基準の理論は、経済的自由の規制は立法府の裁量を尊重し、緩やかな基準で審査されるのに対して、精神的自由の規制はより厳格な基準で審査しなければならないとする考え方です。

小売市場事件は、経済的自由に対する規制が問題となっていることから、二重の基準の理論が採用されるのかどうかが注目されました。

最高裁は次のように述べて、二重の基準の理論を採用することを明確にしました。

憲法は、国の責務として積極的な社会経済政策の実施を予定しているものということができ、個人の経済活動の自由に関する限り、個人の精神的自由等に関する場合と異なつて、右社会経済政策の実施の一手段として、これに一定の合理的規制措置を講ずることは、もともと、憲法が予定し、かつ、許容するところと解するのが相当である。

個人の経済活動への規制が許されるのはどのような場合か?

では、個人の経済活動について法律による規制が認められるのはどのような場合なのでしょうか。

この点、最高裁は次のようなケースであることを明確にしました。

  • 人の自由な経済活動からもたらされる諸々の弊害が社会公共の安全と秩序の維持の見地から看過することができない場合
  • 福祉国家的理想のもとに、社会経済の均衡のとれた調和的発展を図るために経済的劣位に立つ者に対する適切な保護政策を必要とする場合

明白性の基準

最高裁は、個人の経済活動に対する法的規制措置については、「立法府の政策的技術的な裁量」に委ねるしかないとしています。

法的規制を設ける際は、社会経済の実態の正確な基礎資料が費用ですし、法的規制措置により社会経済にどのような影響を与えるのかといった点について適正な評価と判断が必要になるからです。

この役割は、立法府が担うべきだとしています。

そして、裁判所は、「立法府の裁量的判断を尊重するのを建前とし、ただ、立法府がその裁量権を逸脱し、当該法的規制措置が著しく不合理であることの明白である場合に限つて、これを違憲として、その効力を否定することができる」と述べて明白性の基準により判断すべきであると述べました。

小売市場事件への当てはめ

小売商業調整特別措置法による規制は、「経済的基盤の弱い小売商の事業活動の機会を適正に確保し、かつ、 小売商の正常な秩序を阻害する要因を除去する」という目的により、「小売市場の乱設に伴う小売商相互間の過当競争によつて招来されるであろう小売商の共倒れから小売商を保護する」ためのものであると評価しました。

そのうえで、「その目的において、一応の合理性を認めることができないわけではなく、また、その規制の手段・態様においても、それが著しく不合理であることが明白であるとは認められない。」として、小売商業調整特別措置法は、憲法22条1項に違反しないとの結論を導いています。

実際の判決文を読んでみよう!

最後に、小売市場事件の実際の判決文を読んでみよう。

「憲法二二条一項は、国民の基本的人権の一つとして、職業選択の自由を保障しており、そこで職業選択の自由を保障するというなかには、広く一般に、いわゆる営業の自由を保障する趣旨を包含しているものと解すべきであり、ひいては、憲法が、個人の自由な経済活動を基調とする経済体制を一応予定しているものということができる。しかし、憲法は、個人の経済活動につき、その絶対かつ無制限の自由を保障する趣旨ではなく、各人は、「公共の福祉に反しない限り」において、その自由を享有することができるにとどまり、公共の福祉の要請に基づき、その自由に制限が加えられることのあることは、右条項自体の明示するところである。
 おもうに、右条項に基づく個人の経済活動に対する法的規制は、個人の自由な経済活動からもたらされる諸々の弊害が社会公共の安全と秩序の維持の見地から看過することができないような場合に、消極的に、かような弊害を除去ないし緩和するために必要かつ合理的な規制である限りにおいて許されるべきことはいうまでもない。のみならず、憲法の他の条項をあわせ考察すると、憲法は、全体として、福祉国家的理想のもとに、社会経済の均衡のとれた調和的発展を企図しており、その見地から、すべての国民にいわゆる生存権を保障し、その一環として、国民の勤労権を保障する等、経済的劣位に立つ者に対する適切な保護政策を要請していることは明らかである。このような点を総合的に考察すると、憲法は、国の責務として積極的な社会経済政策の実施を予定しているものということができ、個人の経済活動の自由に関する限り、個人の精神的自由等に関する場合と異なつて、右社会経済政策の実施の一手段として、これに一定の合理的規制措置を講ずることは、もともと、憲法が予定し、かつ、許容するところと解するのが相当であり、国は、積極的に、国民経済の健全な発達と国民生活の安定を期し、もつて社会経済全体の均衡のとれた調和的発展を図るために、立法により、個人の経済活動に対し、一定の規制措置を講ずることも、それが右目的達成のために必要かつ合理的な範囲にとどまる限り、許されるべきであつて、決して、憲法の禁ずるところではないと解すべきである。
もつとも、個人の経済活動に対する法的規制は、決して無制限に許されるべきものではなく、その規制の対象、手段、態様等においても、自ら一定の限界が存するものと解するのが相当である。
 ところで、社会経済の分野において、法的規制措置を講ずる必要があるかどうか、その必要があるとしても、どのような対象について、どのような手段・態様の規制措置が適切妥当であるかは、主として立法政策の問題として、立法府の裁量的判断にまつほかはない。というのは、法的規制措置の必要の有無や法的規制措置の対象・手段・態様などを判断するにあたつては、その対象となる社会経済の実態についての正確な基礎資料が必要であり、具体的な法的規制措置が現実の社会経済にどのような影響を及ぼすか、その利害得失を洞察するとともに、広く社会経済政策全体との調和を考慮する等、相互に関連する諸条件についての適正な評価と判断が必要であつて、このような評価と判断の機能は、まさに立法府の使命とするところであり、立法府こそがその機能を果たす適格を具えた国家機関であるというべきであるからである。したがつて、右に述べたような個人の経済活動に対する法的規制措置については、立法府の政策的技術的な裁量に委ねるほかはなく、裁判所は、立法府の右裁量的判断を尊重するのを建前とし、ただ、立法府がその裁量権を逸脱し、当該法的規制措置が著しく不合理であることの明白である場合に限つて、これを違憲として、その効力を否定することができるものと解するのが相当である。
 これを本件についてみると、本法は、立法当時における中小企業保護政策の一環として成立したものであり、本法所定の小売市場を許可規制の対象としているのは、小売商が国民のなかに占める数と国民経済にける役割とに鑑み、本法一条の立法目的が示すとおり、経済的基盤の弱い小売商の事業活動の機会を適正に確保し、かつ、小売商の正常な秩序を阻害する要因を除去する必要があるとの判断のもとに、その一方策として、小売市場の乱設に伴う小売商相互間の過当競争によつて招来されるであろう小売商の共倒れから小売商を保護するためにとられた措置であると認められ、一般消費者の利益を犠牲にして、小売商に対し積極的に流通市場における独占的利益を付与するためのものでないことが明らかである。しかも、本法は、その所定形態の小売市場のみを規制の対象としているにすぎないのであつて、小売市場内の店舗のなかに政令で指定する野菜、生鮮魚介類を販売する店舗が含まれない場合とか、所定の小売市場の形態をとらないで右政令指定物品を販売する店舗の貸与等をする場合には、これを本法の規制対象から除外するなど、過当競争による弊害が特に顕著と認められる場合についてのみ、これを規制する趣旨であることが窺われる。これらの諸点からみると、本法所定の小売市場の許可規制は、国が社会経済の調和的発展を企図するという観点から中小企業保護政策の一方策としてとつた措置ということができ、その目的において、一応の合理性を認めることができないわけではなく、また、その規制の手段・態様においても、それが著しく不合理であることが明白であるとは認められない。そうすると、本法三条一項、同法施行令一条、二条所定の小売市場の許可規制が憲法二二条一項に違反するものとすることができないことは明らかであつて、結局、これと同趣旨に出た原判決は相当であり、論旨は理由がない。」

小売市場事件のまとめ

小売市場事件は、小売商業調整特別措置法による小売市場の開設制限規制が、憲法22条1項に違反しないかが争われた事件です。

最高裁は、営業の自由の根拠規定が憲法22条1項であることを明確にしました。

そして、二重の基準の理論を採用したうえで、個人の経済活動に対する法的規制措置については、「立法府の政策的技術的な裁量」を尊重し、当該法的規制措置が著しく不合理であることの明白である場合に限つて、違憲となる(明白性の基準)との考え方を示しました。

そのうえで、小売商業調整特別措置法による規制は、憲法22条1項に違反しないとの結論を下しました。

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