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【初学者向け】遺産分割と登記の対抗関係|登場時期で変わる第三者の保護を分かりやすく解説

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司法試験において、相続分野と財産法分野を絡めた出題がしやすい「遺産分割と登記」の問題。

本稿では、遺産分割が成立する前後で登場する第三者の扱いについて、民法909条但書と177条を軸に解説し、論文試験・短答試験の対策に役立つ視点を提供します。

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

(遺産の分割の効力)
第九百九条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

目次

あひるっぺ

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はじめに:遺産分割と登記の基本構造

共同相続が発生した場合、被相続人の遺産は相続人全員の共有状態となります。この段階では、各相続人が具体的にどの財産を取得するかは未定であり、遺産分割協議によって最終的に帰属先が決定します。

しかしこの遺産分割の成立前後で、相続人が第三者に持分を譲渡してしまうケースがあります。たとえば、相続人の一人が、まだ誰がどの財産を取得するか決まっていない段階で持分を売却した場合。あるいは、遺産分割によって単独取得が決まった後に、他の相続人が持分を売却してしまった場合。これらの場面で、相続人と第三者の優劣関係をどのように決するかが問題になります。

この点に関し、判例は、第三者の登場時期によって処理を変えています。

以下、ケースごとに条文と判例の整理を行いましょう。

ケース1:遺産分割前に登場した第三者(民法909条但書の適用)

検討事例

被相続人が死亡し、相続人A・Bが不動産を共有で相続。その後、遺産分割が成立する前に、Bが持分を第三者Cに売却。さらにその後、遺産分割協議で当該不動産をAが単独取得することに決定。

法的論点

Aが遺産分割によって不動産を単独相続したとしても、Cに対してその主張が通るのか。すなわち、AはCに対して自己の単独所有権を登記なくして対抗できるかが問題になります。

判例の結論と理由づけ

この場面では、民法909条但書が適用されます。同条は「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない」と規定しています。

判例は、ここでいう「第三者」とは、相続開始後、遺産分割成立前に登場した第三者を含むと判断。したがって、Cは909条但書により保護され、Aは登記を備えなければCに自己の権利を対抗できません。

<ポイント>
909条但書きは、遺産分割による遡及効を制限し、第三者を保護する趣旨
→「第三者」とは、遺産分割による遡及効によって害される者=遺産分割前の第三者

909条は、遺産分割は相続開始の時にさかのぼって効力を生ずるとしつつ、但書において、第三者の権利を害することはできないと規定しています。

判例は、同条但書の第三者とは、相続が開始した後に遺産分割前に登場した第三者を指すと判示しました。

これは、民法909条但書は遺産分割の遡及効を制限することで、遺産分割前の第三者を保護しているという見解に基づくものです。

要するに、遺産分割の効果は相続開始の時点に遡るのが原則ですが、遺産分割前に第三者が登場した場合は、例外として遡及が認められないということです。

その結果として、遺産分割によって不動産を単独相続した相続人は、他の相続人の持分については、登記がなければ第三者に対抗することができません。

よってこのケースの場合は、遺産分割によって土地を単独相続することになったAは、相続人Bが第三者に売却した持分については、民法909条但書によって、登記がなければ対抗できないという結論になります。

ケース2:遺産分割後に登場した第三者(民法177条の適用)

検討事例

相続人A・Bが不動産を共同相続。その後の遺産分割協議でAが単独取得することが決定。しかし、その後にBが当該不動産の持分を第三者Cに譲渡した。

法的論点

AとCの優劣関係はどのように決まるか。すなわち、遺産分割によるAの取得が、後に持分を取得したCとの優劣関係はどのように決するか。

判例の結論と理由づけ

この場面では、民法177条が適用されます。つまり、対抗関係に立つものであり、先に登記を備えた方が優先されます。

遺産分割が相続開始時に遡って効力を生じるという原則は維持されつつも、第三者との関係においては、登記先後が優劣を決めるというルールになります。

判例(最判昭和46年1月26日)は、遺産分割後に第三者が登場した場合、遺産分割によって土地を単独相続した相続人と遺産分割後の第三者との関係は対抗関係であり、民法177条が適用されると判示しました。

177条は、不動産に関する物権の得喪および変更は、登記をしなければ第三者に対抗することができない旨を規定しています。

同条は要するに、不動産をめぐる対抗関係については、先に登記を備えたものが優先されるとする規定です。

よって遺産分割後の第三者については、遺産分割によって不動産を単独相続した相続人と、遺産分割後にその不動産の持分を取得した第三者は対抗関係にあるので、177条によって登記を備えたほうが優先されます。

その結果、遺産分割後に土地の持分を取得した第三者は、登記がなければ自己が取得した持分の所有権を、当該土地の単独相続人であるAに対抗することができません。

同様に、遺産分割によって当該土地を単独相続したAについても、登記がなければ遺産分割後に当該土地の権利を取得した第三者に対抗できません。

両者のうち、先に登記を備えたほうが優先されます。

判例は、遺産分割後の第三者との関係に177条が適用される理由として、遺産分割は相続開始の時に遡って効力が生じるものの、第三者に対する関係においては、相続人が相続によって一旦取得した権利について、遺産分割時に新たな変更が生じることと実質的に異ならないことを挙げています。

これは要するに、遺産分割後に自己の持分を処分したBを起点として、相続人と第三者に二重譲渡が行われた場合に類似するので、その場合と同様に177条の対抗関係のルールで処理しようということです。

試験対策としては、遺産分割後の第三者については、対抗関係として民法177条が適用される点を押さえておきましょう。

遺産分割と登記に関する判例理論の整理

遺産分割の前後に登場した第三者との関係についての判例のルールは、以下のように整理できます。

  • 遺産分割前に登場した第三者
    →民法909条が適用されて、相続人は登記がなければ第三者に対抗できない。
  • 遺産分割後に登場した第三者
    →民法177条の対抗関係となり、相続人と第三者は先に登記を備えたほうが優先される。

それぞのケースの違いのポイントは、遺産分割前の第三者については、909条によって第三者が有利になることです(相続人は登記がなければ対抗できない)。

一方、遺産分割後の第三者については、177条によって相続人と第三者は平等な対抗関係にあり、先に登記を備えたほうが優先されます。

遺産分割と登記のまとめ

遺産分割によって不動産を単独相続した相続人と、その不動産の持分を取得した第三者の優劣関係について、判例は第三者の登場時期によって異なる処理をしているのがポイントです。

遺産分割前に登場した第三者には民法909条が適用され、相続人は登記がなければ第三者に対抗できません。

遺産分割後に登場した第三者については民法177条の対抗関係となり、相続人と第三者は先に登記を備えたほうが優先されます。

以上のように、第三者の登場時期によって適用条文が異なる点を押さえておきましょう。

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この記事を書いた人

法科大学院生修了生です。法スタでは、民法の重要論点解説記事を担当しています。

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