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【重要論点】占有改定と即時取得を分かりやすく解説【初学者から司法試験受験生まで】

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~判例と学説を踏まえた理解と試験対策~

司法試験や予備試験においては、民法の即時取得の制度に関する理解が問われることがあります。とりわけ、即時取得の成立要件の一つである「引き渡し」に、占有改定が含まれるか否かという点は、受験生がつまずきやすい重要論点です。

本記事では、「占有改定と即時取得」の関係について、判例・学説の見解を踏まえて体系的に整理します。試験での出題に備え、判断の分岐点や要件の整理方法、そして暗記ではなく理解に基づく解答作成ができるよう、丁寧に解説していきます。

目次

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はじめに:問題の所在

民法192条が規定する即時取得制度は、無権利者からの取引によっても、一定の条件を満たせば正当な権利を取得できるという、取引安全の観点から重要な制度です。

この即時取得が認められるには、192条に定められた「引き渡し」がなされていることが必要です。しかし、ここで問題となるのが、民法183条の「占有改定」も、この「引き渡し」に含まれるかどうかです。

結論から言えば、判例はこれを否定していますが、学説の中には肯定する立場も存在します。このように見解が分かれる以上、判例と学説それぞれの立論構造と背景を丁寧に押さえることが、試験合格に直結する武器となります。

即時取得とは何か?その制度趣旨と要件

● 制度趣旨

即時取得とは、外観的に権利を持っていそうな者から動産を取引で取得した者を保護する制度です。たとえ実際には売主に権利がなかったとしても、一定の要件を満たせば、買主に所有権などの物権を取得させることで、流通の安全を確保します。

● 民法192条の規定と要件

民法192条によると、即時取得が成立するには、以下の条件を満たす必要があります:

  1. 取引行為があること(例:売買、交換など)
  2. 引き渡しによって動産の占有を取得したこと
  3. 平穏・公然たる占有であること
  4. 占有者が善意であること
  5. 無過失であること

これらのうち、もっとも厳密な解釈を要するのが「引き渡し」とは何を意味するのか、という点です。とりわけ、物が物理的に動かない占有改定が「引き渡し」と言えるかどうかが、今日のテーマとなります。

占有改定とは何か?その制度と具体例

(占有改定)
第百八十三条 代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。

● 占有改定の定義(民法183条)

占有改定とは、物の引渡しを伴わずに、占有者の意思表示のみによって占有者が変わるという占有移転の一形態です。たとえば、代理人が自己のために保管していた物を、以後は本人のために保管すると意思表示することで、占有が移転するという場面が該当します。

● 事例での理解

例:甲が自宅に保管していた自身所有のパソコンを乙に売却し、ただし「甲の自宅で引き続き保管する」ことを特約したとします。
この場合、パソコン自体は移動せず、甲が「以後は乙のために保管する」としたことで占有改定が成立します。

このように、物理的には何も動かないが、法的には占有の帰属が変更される点に占有改定の特殊性があります。

占有改定と即時取得の交錯:問題の所在

即時取得が成立するには「引き渡し」によって占有を取得する必要がありますが、占有改定の場合、物理的な動きがありません。
ここで、「引き渡し」とは形式的に占有が移転すれば足りるのか、それとも物理的外観に変化がなければならないのかが問題となります。

【判例】占有改定による即時取得を否定した最高裁判決

この論点について、もっとも重要な判例が、最判昭和35年2月11日です。

占有改定による即時取得が認められるかについて判示した判例として、最判昭和35年2月11日があります。

同判例は、占有改定による占有取得は、即時取得の成立要件の一つである「引き渡し」に該当しないとして、占有改定による即時取得を認めませんでした。

判例はその理由として、即時取得が成立するには、無権利者からの譲受人が一般的な外観からみて、従来の占有状態に変更を生じるような占有を取得することが必要であるところ、占有改定の方法による占有取得の場合は、一般的な外観からみて、従来の占有状態に変更が生じない

ことを挙げています。

要するに、即時取得が成立するには、外形的にみて従来の占有状態が変更される(物が物理的に動くこと)必要があるところ、占有改定の場合は、外形的にみて占有状態に変更が生じていない(物自体は全く動いていない)ので、即時取得は成立しないということです。

試験との関係では、判例は占有改定による即時取得を認めていないことと、その理由として、占有改定は外形的にみて占有状態に変更がないことを挙げていることを押さえておきましょう。

【学説】占有改定による即時取得を肯定する立場も存在

● 肯定説の立場

肯定説は、占有改定も民法183条に基づく「占有移転」の一種であることから、192条の「引き渡し」に当然含まれると解します。
この見解は、「引き渡し」の文言を形式的に広く解釈する傾向にあり、取引の迅速性・安全性を重視する傾向にあります。

● 折衷説の立場

折衷説は、占有改定を引き渡しとして認めるものの、その効果は暫定的なものに過ぎず、後日、現実の引き渡しがなされることで所有権取得が確定すると解します。

さらにこの立場によれば、原権利者は、譲受人よりも早く現実の引き渡しを受ければ、自己の所有権を回復できるとされます。

このように、学説には肯定説と折衷説の2つが存在し、試験では立場による結論の相違を説明できることが求められます。

※民法では、学説の理解が問われることは稀ですが、このような学説があることを一応、押さえておきましょう。

即時取得の善意無過失の判断基準時

判例は占有改定による即時取得の成立を否定するので、判例の立場を採用した場合は、即時取得の要件である善意無過失の有無を判断する基準時は、現実の引渡しを受けた時点です。

判例によれば、即時取得の要件である引き渡しに該当するのは、現実の引渡しを受けた時点だからです。

一方、占有改定による即時取得の成立を認める肯定説または折衷説を採用する場合、善意と無過失の有無を判断する基準時は、現実の引渡しを受けた時点ではなく、占有改定の時点になります。

これらの説は、占有改定が即時取得の要件である引き渡しに該当すると解することから、占有改定の時点で善意無過失の有無を判定するからです。

よって、即時取得の成立を主張する者(一般に、無権利者からの譲受人が該当します)が、占有改定の時点では善意無過失であったものの、後に現実の引渡しを受けた時点では悪意または有過失であった場合、判例と学説では結論が異なります。

判例の場合、現実の引渡しの時点で善意無過失を判定するので、現実の引渡し時に悪意または有過失である場合は、即時取得は成立しません。

一方、学説の場合は占有改定の時点で善意無過失であればよいので、現実の引渡し時に悪意または有過失であっても、即時取得は成立します。

以上のように、判例と学説では善意無過失の判定時が異なる点に注意しましょう。

試験対策としてのまとめ

論点判例の立場学説(肯定説・折衷説)の立場
占有改定は引き渡しか?否定肯定/限定的に肯定(折衷)
即時取得の成立可否不可可/条件付きで可
善意・無過失の判断時点現実の引渡し時占有改定の時点
判断根拠外観の変化の有無引き渡しの法的機能

「占有改定による即時取得」は、判例と学説が真正面から対立する数少ない論点です。そしてその対立は、表層的な要件論にとどまらず、制度趣旨・解釈原則・法律構造の捉え方の違いにも深く関係しています。

試験では、「どの立場を取るか」だけでなく、「なぜそう考えるのか」を自分の言葉で説明できるようにしておくことが鍵になります。ぜひ、条文・判例・学説の三位一体で理解を深め、答案に活かせる思考力を養ってください。

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この記事を書いた人

法科大学院生修了生です。法スタでは、民法の重要論点解説記事を担当しています。

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