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無権代理人の本人共同相続と追認の可否【最高裁平成5年判決】

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〜最判平成5年1月21日を軸に徹底解説〜

司法試験・予備試験で問われる「無権代理」の論点の中でも、やや応用的で注意が必要なのが、無権代理人が本人を共同相続した場合における追認の可否です。

とくに、追認の効果が共同相続人間でどのように帰属するのか無権代理人が自らの相続分について単独で追認できるのか、さらに他の相続人が追認を認めた場合に無権代理人が拒否できるかといった点は、単純な条文知識だけでは対応しきれません。

この分野をしっかり押さえるには、判例(最判平成5年1月21日)の理解が不可欠です。本記事では、具体例や試験で狙われやすいポイントを交えながら、判例の論理とその背景にある民法の構造を解説します。

目次

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無権代理人の「本人共同相続」とは何か?

● そもそも無権代理とは?

(無権代理)
第百十三条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

まず前提として、無権代理とは、「代理権のない者(=無権代理人)」が、あたかも代理権があるかのように本人の名義で法律行為を行うことを指します(民法113条)。

このような無権代理行為は、原則として本人には効果が帰属しません。ただし、後に本人が「追認」すれば(116条)、その行為は最初から有効な代理行為であったかのように扱われます。

(無権代理行為の追認)
第百十六条 追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

● 無権代理人が「本人を相続」するとは?

ここで問題となるのは、無権代理人が本人の死亡後、他の相続人とともに本人の地位を共同相続した場合です。

たとえば、次のような事例を考えてみましょう。

【事例】

父が生前、長男・甲に何の代理権も与えていなかったにもかかわらず、甲は父の代理人を名乗って、乙から300万円の借金をした(=無権代理行為)。その後、父が死亡し、甲・弟A・妹Bの3人が共同相続人として相続を開始した。

→ この場合、甲が行った無権代理行為について、父の立場を相続した甲および他の相続人は、追認できるのか? また、誰が、どのように、追認できるのか?

このように、「無権代理人」が「本人の地位を相続する」という特殊な構造によって、無権代理制度と相続制度が複雑に交錯する場面が生まれます。

無権代理行為の追認と追認権の相続

無権代理行為に対して、本人が死亡している以上、追認を行うのはその相続人になります。では、追認権は相続人の間でどのように扱われるべきなのでしょうか?

● 追認権は分けられる?分けられない?

ここで、民法上の重要な概念が登場します。それが「追認権の不可分性」です。

追認とは、その性質上、意思表示によって効果が本人に帰属するという、私的自治に基づく制度です。

したがって、その権限が相続されるときには、相続人全員が共同で意思を形成する必要があるのか、それとも各人が自分の相続分に応じて独自に追認できるのか、という争点が発生します。

 【重要判例】最判平成5年1月21日の内容と意義

このような問題に正面から答えを示したのが、最判平成5年1月21日です。

本判例では、以下の3つの争点に分けて判断が示されています。

◉ 争点1:追認権の帰属形態は?

【判示】
無権代理人が他の共同相続人とともに本人を相続した場合、無権代理行為を追認する権利は、「その性質上、共同相続人全員に不可分的に帰属する」。

→ つまり、各人が自分の判断でバラバラに追認したり拒絶したりできないという意味です。

◉ 争点2:無権代理人が単独で自己の相続分に応じた追認ができるか?

【判示】
無権代理人は、他の共同相続人全員の追認がない限り、自分の相続分についても単独で有効にすることはできない

→ 相続分を理由に、自分の持分だけ有効化するという扱いは、追認権の不可分性と矛盾するということです。

◉ 争点3:他の共同相続人全員が追認した場合に、無権代理人は拒絶できるか?

【判示】
無権代理人は信義則に反するため、追認を拒絶することは許されない

→ 自ら無権代理行為をしておきながら、本人の地位を相続した後にそれを否定するのは、法律上の誠実義務に反します。

事例で理解する追認可否の検討イメージ

◆ 例1:追認の可否が分かれるケース

甲(無権代理人)・A・Bの3人が共同相続人であり、Aは追認に賛成、Bは追認に反対。

→ この場合、追認は成立しません

なぜなら、追認権が相続人全員に不可分的に帰属しているため、1人でも拒否すれば、全体として追認は不成立となるからです。

◆ 例2:甲の相続分でだけ追認できるか?

仮に父の遺産が1200万円あり、甲が生前、父の名義で400万円の借金をしたとします。

共同相続人:甲・A・B(各400万円ずつ相続)

→ 甲が「自分の400万円の持分で返済義務を認める」と主張しても、他の相続人の追認がなければ、無権代理行為は有効になりません

◆ 例3:他の相続人全員が追認している場合

A・Bが追認に賛成しているが、甲自身が追認を拒否している。

→ 判例は「信義則により、追認拒否は許されない」としています。

これは、甲が自ら無権代理行為をしたことに照らし、「本人の地位を相続したことを利用して免責されるのは不当だ」との判断です。

学説と判例の関係性

この判例は、学説上も大きな注目を集めました。

一部には、「追認権を形式的に不可分とすれば、無権代理人の責任を不当に免責する可能性がある」との批判もあります。

しかし、判例は、無権代理人の保護ではなく、「他の相続人および第三者の保護」を重視しています。つまり、各相続人の個別的な判断よりも、共同相続人としての協同責任の原理が優先されたのです。

試験対策としてのまとめと活用法

司法試験・予備試験において、この判例は以下のような形で問われやすいです

  • 無権代理行為の追認可否に関する記述の正誤判定(短答)
  • 判例の趣旨を踏まえた論証及び事例処理(論文)

◆ 試験で押さえるべきキーワード

  • 追認権の不可分性
  • 自己の相続分での単独追認の不可
  • 信義則による追認拒絶の制限

とくに論文では、「相続人全員の追認が必要」であることを丁寧に論証し、信義則の適用場面では行為者自身の責任という観点を入れると評価が上がります

最後に

無権代理人の本人共同相続というテーマは、単なる条文の適用にとどまらず、民法全体の構造理解を求める分野です。

代理法、相続法、信義則という横断的な視点をもってこの判例を理解することは、実務能力はもちろん、論理的思考力を磨くうえでも非常に有益です。

判例が示した原則と例外のバランスを意識しながら、の理解を深めていきましょう。

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この記事を書いた人

法科大学院生修了生です。法スタでは、民法の重要論点解説記事を担当しています。

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