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(正当防衛)
第三十六条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
本稿では正当防衛の第4要件『やむを得ずにした』の解説をしていきます。この要件は、相当性と言い換えることもできます。
相当性を満たさない行為は正当防衛の要件を満たしません。しかし、他の要件さえ満たしていれば、過剰防衛が成立します。
つまり、この記事で解説するのは、正当防衛と過剰防衛を分ける基準です。
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通説的には「やむを得ずした」とは必要性と相当性のことを言います。「必要性」とは、侵害を防ぐために必要な行為であることをいいます。具体的には、防衛するためにする手段として無意味でないことをいいます。
実は「防衛するため」の客観的要件と被っています。
また、判例の文言は「やむを得ずしたとは、相当性を有すること」とされています。したがって、「やむを得ずした」の論証の際には相当性だけ書けばよいです。
Xは路上駐車でVと口論になったところ、Vが「殴られたいのか」といいながら拳や脚を構えて向かってきた。Xは車の中に包丁があることを思い出し、脅して危害を免れようと、刃体の長さ17センチの包丁を腰のあたりで構え、威嚇した。しかし、Vは動じることなく2,3歩近づいてきたため、Xは「切られたいんか」と更に言った。
Xは示凶器脅迫罪(暴力行為等処罰法1条)で起訴された。
原審は、Vが素手で拳や脚蹴りの構えをしていただけであるのに対して殺傷能力の高い刃体の長さ17センチの包丁を構えて脅迫したのは過剰であるとして、相当性を否定して過剰防衛を認めた。
最高裁は原判決を破棄し、正当防衛を認めて自ら無罪判決を下した。
年若く体力に優れるVに「お前、殴られたいのか」と言われ、拳を示されながら近づかれ、後ずさりするのを追いかけられて目前に迫られた。その接近を防ぎ、危害を免れるため、やむなく菜切包丁を腰のあたりに構え、「切られたいんか」などと言ったにとどまる。
Vからの危害を避けるための防御的な行動に終始していたから、相当性の範囲を超えたということはできない。
XはVと口論になって言い合いになっている内に、VがXの中指と薬指を掴んで逆に捻りだした。Xは痛みのあまりVの胸のあたりを強く突き飛ばした。そうしたところ、Vは地面に倒れ、たまたま駐車していた車のバンパーに頭を打ち、治療45日を要する頭部打撲となった。
刑法三六条一項にいう「やむをえずした行為」とは、急迫不正の侵害に対する反撃行為が、自己または他人の権利を防衛する手段として必要最小限度のものであること、すなわち反撃行為が侵害に対する防衛手段として相当性を有するものであることを意味する
反撃行為が右の限度を超えず、したがつて侵害に対する防衛手段として相当性を有する以上、その反撃行為により生じた結果がたまたま侵害されようとした法益より大であっても、その反撃行為が正当防衛行為でなくなるものではないと解すべきで ある。
相当性は、正当防衛と過剰防衛を分ける分岐点です。
もし、正当防衛の他の要件を全部満たしたうえで、相当性だけが満たされていないのなら、過剰防衛になります。
判例は、「やむを得ずした」とは「自己または他人の権利を防衛する手段として必要最小限度のものである」ことを言うと判示しました。緊急避難とは異なり、法益の均衡は要求されません。
相当性を判断する際に、防衛が終わった後の事後的な結果を見て、バランスが取れているかで判断する立場もあり、かつての判例もそれに近い立場を採っていました。
しかしながら、昭和44年判決では「反撃行為により生じた結果がたまたま侵害されようとした法益より大であっても、その反撃行為が正当防衛行為でなくなるものではない」と判示しました。
したがって、事後的に結果を見るのではなく、防衛行為の時を基準にします。防衛行為の時に、その行為がどのような危険性を有しているかを見て、その行為で守られる利益を比較することになります。
まず、侵害行為と防衛行為の危険性を比較します。その際にまず考慮するのは、武器対等の原則です。防衛行為が侵害行為よりも著しく危険なときは、次に手段として最小限度であるかを検討します。
最小限度であるかどうかとは、言い換えれば、ほかに防衛する手段があったかどうかです。
昭和44年判決では、素手で向かってきた男に対して、被告人は菜切り包丁で脅迫して反撃しました。したがって、被告人の行為の危険性は、男を畏怖させるにとどまり、なんらの身体的な害も発生させません。
このように、相手の身体を攻撃しないで防衛する場合には、相当性は肯定されます。
問題は、相手を攻撃することで、侵害をやめさせる場合です。
例1(架空の事例)
女学生の16歳のX女(身長約150センチ・体重約50キログラム)は、30代男性V(身長約180センチ・体重約70キロ)の素手による襲撃を受け、逃走したが、逃げ場のない路地に追い詰められた。付近に人の気配はなく、助けを求めることは不可能だった。そこで、偶然落ちていたM4カービンライフル(マシンガン)を腰のあたりで構え、3メートルほどの距離から、Vに向けてフルオート射撃で実弾20発を発砲し、12発を命中させ、死亡させた。
侵害者と防衛者の武器が対等である場合に相当性を認める原則です。基本的に、使っている武器が強い方が強く、危険性が高いため、使用する武器は重要な要素となります。
ただ、ここでいう、「武器が対等」は、単に使用された武器だけでなく、性別・年齢・体格などの差を比較して、実質的に対等かを検討する必要があります。
例1の場合は、身長差20センチ、体重差20キロと大きな体格差があります。性別も女性と男性で、年齢も16歳と30代で、相当な差があります。このことを考慮に入れる必要があります。したがって、マシンガンを使うのはさすがに対等とはいえないにしても、たとえば木の棒程度であれば相当性を肯定できる可能性があります。
このように、侵害行為と防衛行為の危険性の比較は、実質的に武器が対等であるかを検討して行います。
たとえ防衛行為の危険性が高かったとしても、それ以外に自分の権利を守る手段がない場合もあります。その場合にもなお、過剰防衛としてしまうと、権利侵害か過剰防衛で処罰されるかのどちらかを選ばせることになってしまいます。
例1でいえば、Xは逃げ場もなければ助けも期待できませんでした。この極限の状況ではM4を撃ったのを責めることはできないといえます。
このように、防衛行為と侵害行為が著しく均衡を失している場合は、次に、代替手段が取れなかったかを検討します。
①具体的な状況で、②防衛行為者の能力に鑑みて、権利を確実に防衛するための手段が他にない場合には、相当性が肯定されます。
他の手段とは、より危険性の小さい手段のことです。
例1では、落ちていたライフルでなく、素手で反撃するという選択もあり得ました。しかし、体格差を考えれば、素手で抵抗したところで確実に暴行を免れることはできなかったと考えられます。
他の手段があったというためには、その手段で確実に権利侵害を防ぐことができなければなりません。
他にとれる危険性の低い手段はあるが、具体的状況の中で、それをするのが難しい場合にも、相当性が認められます。
千葉地裁昭和62年9月17日判決では、泥酔した男に絡まれた女性が男の胸のあたりを突き飛ばしたことについて正当防衛を認めました。
その際、周囲の者に助けを求めてもからかわれて笑われるだけで助けに応じる人がいなかったこと、上の階の駅員に助けを求めようにも買い物袋をもって思うように動けなかったことから、助けを求めるという手段を取らなかったとしても、相当性は認められるとしました。
正当防衛の局面では、原則として、退避義務は発生しません。「正は不正に妥協しない」という原則があるからです。したがって、代替手段を検討する際に、退避が可能であったかどうかを考える必要はないと考えることもあります。
しかしながら、裁判実務では、生命の危険が高い防衛行為は、退避が不可能なときにのみ許されます。つまり、相手を殺すか逃げるかの二択を迫られた場合には、逃げなければならないという退避義務が例外的に発生します。
「やむを得ずしてした行為とは、権利を防衛する手段として最小限度のものであるということ、すなわち防衛行為として相当性を有していることを言う」という判例規範があります。
そこから、防衛行為と侵害行為との危険性を比較して、両者の武器が実質的に対等かを検討します。もし対等であれば相当性を満たします。
著しく均衡を失していたとして、それが権利を防衛するためにとれる唯一の手段であったかを考えます。もし、唯一の手段であれば相当性を満たします。
この二つの審査を経てもなお、相当性を満たせなければ、「やむを得ずした」とは言えず、過剰防衛が成立します。
・大塚裕史『応用刑法I 総論』(日本評論社、2023)
・大塚裕史ほか『基本刑法I 総論[第3版]』(日本評論社、2019)
・佐伯仁志・橋爪隆編『刑法判例百選I[第8版]総論』(有斐閣、2020)
・井田良『講義刑法学・総論[第2版]』(有斐閣、2018)
・『アガルートの司法試験・予備試験合格論証集 刑法・刑事訴訟法』アガルートアカデミー編著(サンクチュアリ出版、2020)
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