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初学者でも分かる!建築確認と訴えの利益の判例(最高裁昭和59年10月26日)のていねいな解説

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この記事では、「建築確認と訴えの利益の判例(最高裁昭和59年10月26日)」について、初学者の方でも分かりやすいように、丁寧に解説していきます。

まず初めに「建築確認と訴えの利益の判例」を、「理解するためのポイント」と「簡単な結論」を以下に示します。

≪「建築確認と訴えの利益の判例」理解するための3つのポイント≫

1. 本判決はどのような事案か(どんな事件だったの?)
ある建物の建築に反対する周辺住民が「当該建物の建築確認が違法である」として、建築確認の取消訴訟を提起しましたが、当該建物が完成してしまっていたという事案です。

2. 本判決の論点(何が問題になったの?)

本判決の論点は、「建築確認」のなされた建築物が既に完成してしまっている以上、「訴えの利益」が消滅するのではないかという点です。

3. 本判決の判断(裁判所の判断は?)
本判決は「建築確認」の法効果を検討したうえで、工事が完了した以上「訴えの利益」は失われるとしました。

目次

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建築確認と訴えの利益」判例の事案

今回の事案は「建築確認の取消」を巡る事案です。事案の詳細を見ていきます。

STEP
Y(仙台市建築主事)は「土地上に建築しようとする建築物」につき「建築確認」をしました
STEP
X(周辺住民)は、当該「建築確認」が違法であるとして、建築審査会に審査請求をしました(昭和54年7月24日)
STEP
しかし請求は棄却されました(昭和55年2月8日)
STEP
建築確認の取消訴訟を提起しました(昭和55年3月12日)

ただ問題の建物は、裁判が始まる前の「昭和54年12月下旬」に完成してしまっています。

そもそも「建築確認」とは?

本判決を理解するには「建築確認とはどういうものなのか?」を理解する必要があるため、そこから見ていきましょう。

建築確認」とは

建築確認
工事を始める前に、その計画が建築基準関係規定に適合するものであるか?を「確認する手続き」あるいは「確認する行為」です

「建築確認」の規定は、「建築基準法6条1項」に記載があります。その柱書を一部引用します(長い条文ですが読みやすいように重要な部分を太字にしていますので頑張って読んでみてください)。

建築基準法(建築物の建築等に関する申請及び確認)
第六条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、

これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、

確認の申請書を提出して建築主事又は建築副主事(以下「建築主事等」という。)の確認(建築副主事の確認にあつては、大規模建築物以外の建築物に係るものに限る。以下この項において同じ。)を受け、確認済証の交付を受けなければならない。

あひるっぺ

このように「計画の適法性」を審査することによって、規定違反の建築がされないようにしているのですね。

「建築確認」を受けることの法的な効果

「建築確認」を受けることの「法的な効果」は何でしょうか?

「建築確認の法効果」は「それを受けなければ工事をすることができないという法的効果」です。

あひるっぺ

言い換えれば「工事をしても良いですよ」という許可のようなものですね!

「建築確認の法効果」については建築基準法6条8項に記載があるため、内容を見てみましょう。

建築基準法6条
8 第一項の確認済証の交付を受けた後でなければ、同項の建築物の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事は、することができない。

「建築確認」は、「建築物が建築基準法の基準に適合することを担保しよう」とする制度ですが、そのような制度は「建築確認」の1つだけではありません。

検査済証」の交付や「違反是正命令」もそのような制度です。後で出てきますので概要をざっくり説明します。

検査済証
工事完了後に建築主事等がその建築物等が建築基準関係規定に適合するかを検査し、適合すると認めた時に建築主に対して交付されます(7条4項、5項)

違反是正命令
建築物等が建築基準法の規定に違反するときに、行政が工事の施工の停止や当該建築物の除却など違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることです。(建築基準法9条1項)

建築確認と訴えの利益」判例の論点

本判決の論点は「『建築確認』のなされた建築物が既に完成してしまっている以上、『訴えの利益』が消滅するのではないか?」という点です。

かもっち

上記一文の意味がわからなくても、こちらの章を最後まで読んだ後に、もう一度読み直していただくと理解できると思う!

分からない場合は、一旦、読み飛ばしてくれ!

「訴えの利益」は、取消訴訟の訴訟要件の一つですので(行政事件訴訟法9条1項)、「訴えの利益」を欠くとなれば訴えは却下されてしまいます。(「訴えの利益」とは何かについてはhttps://hosyolog.com/shihoyobi/11030/#index_id3で免停の例を挙げて説明しています)

訴えの利益」は「処分が取消によって除去すべき法的効果を有するか?」や「処分を取り消すことによって回復される権利利益が存在するか?」という観点から判断されます。

訴えの利益」の判断ポイント
・処分が取消によって除去すべき法的効果を有するか?
・処分を取り消すことによって回復される権利利益が存在するか?

前者については、自己に不利益な法効果を除去するという実益が、後者については自己の権利利益を回復するという実益があるわけです。

「建築確認」の法的効果は、上述のように「工事の施工を許容する」というものです。工事完了後はこの効果はどうなるでしょうか?

建築確認と訴えの利益」判例論点の判断

今回、問題の建物は、裁判が始まる前に完成してしまっています。

「『建築確認』のなされた建築物が既に完成してしまっている以上、『訴えの利益』が消滅するのではないか?」について、裁判所はどのように判断したのでしょうか?

結論、判決では「訴えの利益は失われる」としました

もう工事は終わっているので、工事の施行を許容しても意味がありませんから、法効果は消滅します。

これが冒頭の「本判決の論点は『建築確認』のなされた建築物が既に完成してしまっている以上、『訴えの利益』が消滅するのではないか?」という文の意味なんです。

判例は「建築確認」について次のように述べています。

建築確認は、建築基準法六条一項の建築物の建築等の工事が着手される前に、当該建築物の計画が建築関係規定に適合していることを公権的に判断する行為であつて、

それを受けなければ右工事をすることができないという法的効果が付与されており、建築関係規定に違反する建築物の出現を未然に防止することを目的としたものということができる。

上述のように「建築確認」は「工事が着手される前に判断する行為」であるため、「建築確認がなければ工事を開始できない」という法的効果は、工事が完了してしまえばその目的を失い、消滅してしまいます。

なぜなら、訴訟で「建築確認」を取り消したとしても、既に建物は完成しており、「工事を開始できない」という状態を回復することができないからです。

違法な「建築確認」を取り消しても、「原告(周辺住民X)の権利や利益を回復する」という実質的な意味がなくなってしまうため、「訴えの利益」が消滅すると判断されたのです。

かもっち

ここまでお読みくださった皆さんは「『建築確認』のなされた建築物が既に完成してしまっている以上、『訴えの利益』が消滅する」という内容が理解できるようになったかと思います。

「建築確認」を取消すべき実益があるか?の検討

判例は「検査済証の交付や違反是正命令との関係で、建築確認を取消すべき実益があると言えるか」も検討しています。

右工事が完了した後における建築主事等の検査は、当該建築物及びその敷地が建築関係規定に適合しているかどうかを基準とし、同じく特定行政庁の違反是正命令は、当該建築物及びその敷地が建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合しているかどうかを基準とし、

いずれも当該建築物及びその敷地が建築確認に係る計画どおりのものであるかどうかを基準とするものでない上、違反是正命令を発するかどうかは、特定行政庁の裁量にゆだねられているから、建築確認の存在は、検査済証の交付を拒否し又は違反是正命令を発する上において法的障害となるものではなく、

また、たとえ建築確認が違法であるとして判決で取り消されたとしても、検査済証の交付を拒否し又は違反是正命令を発すべき法的拘束力が生ずるものではない。

要するに「建築確認が後ろに続くこれらの処分に法的影響(法的拘束力や法的障害)を及ぼすならば、それとの関係で処分を取り消す実益があるのでは?」という話です。

「建築確認」の存在に、より後ろの処分で生じる法的障害を除去でき、あるいは「建築確認」を取消すことで後ろの処分について、法的拘束力を発生させることができるのだとしたら、「建築確認」を取消すべき実益がありそうです。

しかし判例は、そのような法律的な影響はないと判断したため、結局は「訴えの利益」は認められませんでした。

おわりに

今回の解説で、「建築確認と訴えの利益の判例」について、少しでも分かりやすくなったでしょうか? 法律の判例は難しく感じることが多いと思いますが、一つ一つ丁寧に理解していくことで、少しずつ見えてくるものがあると思います。

今回の記事もお読みくださりありがとうございました。

参考文献

行政判例百選II〔第8版〕 別冊ジュリスト 第261号.

櫻井敬子,橋本博之(2019)『行政法[第6版]』弘文堂.

下山憲治,友岡史仁,筑紫圭一(2017)『行政法』日本評論社.

海道俊明,須田守,巽智彦,土井翼,西上治,堀澤明生(2023)『精読行政法判例』弘文堂

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