憲法が、面白くなる。
AKB48メンバー(当時)の内山奈月さんと、九州大学の南野森教授の共著。「アイドル本」と、バカにすることなかれ。扱われている内容は想定以上に深く、読ませる内容です。2時間ほどで通読出来るため、各種試験対策の「はじめの一冊」に最適ではないでしょうか。
特に印象に残っているのは、違憲審査制についての記述です。
学校でも教わり、存在が当たり前になっている違憲審査制。しかしこれは、国民に選ばれていない裁判官が、国民に選ばれた国会議員の制定する法律を「無効!」と出来る制度です。「裁判官は選挙で選ばれていないのに威張りすぎじゃないか」(本書48頁)、という疑問が提起されます。
そして南野教授はなんと、民主主義において「違憲審査制を完全に正当化することはできない」(本書160頁)とします。さりながら違憲審査をしてもらわないと、多数者の暴政へまっしぐら。だから日本国憲法には81条が設けられ、違憲審査制が「一応は正当化できる」(本書161頁)とします。
以上のような問題意識は、中級者以上にも有益であると思われます。基本書の深い理解にも資するためです。
例えば、新井誠ほか『憲法Ⅰ 総論・統治』(日本評論社、2016年)189頁の記述は、違憲審査制に関する本書の理解を踏まえると、より鮮明に理解できます。また、新井ほか前掲部分で言及されている司法積極主義vs司法消極主義の対立は、いわゆる二重の基準論などにも関連する重要なもの。「二重の基準論でさえ手ぬるい!なんでも厳格基準で違憲判決を増やせば解決だろ!」と一度でも思われた方(私を含みます…)は、本書178頁以下をご参照ください。
本書をきっかけに、憲法を「面白い」と感じる事が出来るようになりました。
注:なお、以上に記した頁数は、ソフトカバー版のものです。文庫版では頁数が変わっているかと思います。ご了承ください。
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